海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前

Pillingerらは、 抗うつ薬の種類別の生理学的変化への影響を検討するため、 151件の無作為化比較試験および17件の米食品医薬品局 (FDA) 報告のデータを統合しネットワークメタ解析を実施した。 その結果、 抗うつ薬間では、 特に心代謝パラメータに差が生じることが示された。 パロキセチン、 デュロキセチン、 デスベンラファキシン、 ベンラファキシンは総コレステロール上昇と関連し、 デュロキセチンは血糖値上昇とも関連していた。 試験結果はLancet誌に発表された。
AST、 K、 尿素を除いてネットワークメタ解析における非一貫性がみられた点はlimitationです。
トレドミン錠12.5mg、 15mg、 25mg、 50mg
抗うつ薬は生理学的変化を引き起こすが、 各薬剤による変化の程度は明らかではない。 本研究では、 無作為化比較試験 (RCT) のデータを統合することにより、 生理学的変化により抗うつ薬を比較・順位付けすることを目的とした。
MEDLINE、 EMBASE、 PsycINFO、 ClinicalTrial.gov、 FDAのデータベースを開始時点~2025年4月21日まで検索し、 抗うつ薬とプラセボを比較した単盲検/二重盲検のRCTを対象とした。 体重、 総コレステロール、 血糖、 心拍数、 収縮期/拡張期血圧、 QT間隔補正値 (QTc)、 ナトリウム、 カリウム、 AST、 ALT、 ALP、 ビリルビン、 尿素、 クレアチニンの変化を調査した。 加えて、 年齢、 性別、 ベースライン体重と生理学的変化との関連、 うつ症状の重症度変化と代謝パラメータ変化の相関について検討した。
151件の研究および17件のFDA報告が選定された。 その総患者数は5万8,534例で、 30種類の抗うつ薬がプラセボと比較されていた (治療期間中央値 : 8週間)。
抗うつ薬間では、 代謝および血行動態パラメータに有意差が認められ、 以下のような差があった。
また、 パロキセチン、 デュロキセチン、 デスベンラファキシン、 ベンラファキシンは総コレステロール上昇と関連し、 デュロキセチンは血糖値上昇とも関連していたが、 いずれも体重は減少させた。
デュロキセチン、 デスベンラファキシン、 レボミルナシプランはAST、 ALT、 ALP上昇と関連していたが、 これらの変化は臨床的に有意ではなかった。
QTc、 ナトリウム、 カリウム、 尿素、 クレアチニンには、 どの薬剤でも影響は認められなかった。
ベースライン体重が高いほど、 収縮期血圧、 ALT、 ASTの抗うつ薬誘発性上昇が大きく、 年齢が高いほど血糖値の上昇が大きかった。
なお、 うつ症状の変化と代謝異常との関連は認められなかった。
著者らは、 「抗うつ薬間では、 特に心代謝パラメータに差が生じることが示された。 治療ガイドラインは生理学的リスクの違いを反映し更新されるべきであるが、 臨床における選択では、 患者、 介護者、 医師の臨床状況、 希望を考慮し個別に判断されるべきである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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