メイヨークリニック感染症科 松尾貴公
2ヶ月前
メイヨークリニック感染症科 松尾貴公先生による連載です。 今回はアンガーマネジメントの3回目として、「6つの実践テクニック」 を解説します。
前回までに、 医療現場におけるアンガーマネジメントの重要性や怒りの発生メカニズムについて学習しました (第20回、 第21回)。
怒りの感情は、 ピークに達するまでの時間が 「約6秒」 と言われています。 この6秒間をやり過ごすだけで、 感情が和らぎ、 理性的な判断が可能になります。
たとえば怒りを感じた瞬間に、 心の中で6秒数えたり深呼吸をしてみてください。 最初は難しいと感じるかもしれませんが、 繰り返すことで次第に習慣化されます。
怒りは漠然とした感情であるため、 数値化することでその強さを客観的に把握することができます。
具体的には、 「今の怒りは10段階でどのくらいか?」 と考えてみることで、 自分の感情を冷静に振り返ることができます。 これにより、 必要以上に感情的になることを防ぎ、 適切な対応を取りやすくなります。
怒りが湧き上がった瞬間に、 すべての思考を止める方法です。 「ストップ」 と心の中で強く唱え、 その後に真っ白な空間をイメージすることで、 怒りの連鎖を断ち切ることができるかもしれません。
心の中で落ち着く言葉を繰り返し唱える方法です。 「大丈夫」 「問題ない」 など、 シンプルで安心感を与える言葉を自分に語りかけることで、 感情を和らげる効果があります。
この方法は、 特に短時間で感情を抑える必要があるときに役立ちます。
怒りに対する意識を別の方向に向けることで、 感情を和らげる方法です。
たとえば周囲の景色や物に注意を向けたり、 過去の楽しい思い出を思い出したりすることで、 怒りから一時的に距離を置くことができます。
意識を別の対象に移すだけで、 感情のコントロールがしやすくなります。
どうしても感情が収まらない場合は、 その場を離れて時間を置くことが有効です。
距離を取ることで心が落ち着き、 冷静な判断ができるようになります。 この方法は、 特に怒りが大きく、 その場で解決が難しい状況において役立ちます。
怒りをコントロールする6つの実践テクニックを活用し、 感情をコントロールし冷静な判断ができるようになろう
怒りは誰にでも起こる自然な感情ですが、 適切に対処することで、 医療現場や日常生活におけるストレスを大幅に軽減することができます。 今回紹介した6つのテクニックを、 ぜひ実践してみてください。
連載バックナンバー
第11回 : クレーム対応のコツ① 知っておきたい2つのギャップ
第12回 : クレーム対応のコツ② 円滑に進めるための4つのポイント
第13回 : クレーム対応のコツ③ 実践で活用できる4つのフレーズ
第20回 : アンガーマネジメント① : 必要な3つの理由
第21回 : アンガーマネジメント② : 怒りの発生メカニズム
レジデントのためのビジネススキル・マナー
医師として成功の一歩を踏み出す仕事術55
本書では自分が失敗から学んできた社会人としての院内・院外で必要なマナーや、 医師としての心得、 自己成長を成し遂げていくために必要な仕事術を解説していきます。 特に若手医師の皆さんにこれらを少しでも早い段階で共有することにより、 医師としてのキャリアを成功させるためのお手伝いが少しでもできれば幸いです。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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