海外ジャーナルクラブ
5日前

広島大学大学院医系科学研究科腎泌尿器科学の行廣和真氏らの研究グループは、 1次治療としてアンドロゲン受容体シグナル阻害薬 (ARSI) 療法を受けた転移性去勢感受性前立腺癌 (mCSPC) 患者を対象に、 早期に良好な前立腺特異抗原 (PSA) 反応が得られる確率を予測するNadir ARSI-Derived Integrative Response (NADIR) モデルの実臨床における予測性能および有用性を後ろ向き研究で評価した。 その結果、 NADIRモデルは実臨床コホートにおいて許容可能な予測性能を示し、 早期の良好なPSA反応と強く関連していた。 本研究はProstate誌において発表された。
完全データ症例に限定した解析による選択バイアスや、 同期性転移症例のみを対象としたため、 一般化可能性に限界があります。
mCSPCでは、 ARSI療法開始後早期の著しいPSA低下が、 良好な長期予後と関連することが知られている。 NADIRモデルは、 第Ⅲ相試験のデータを基に、 早期に良好なPSA反応が得られる確率を予測するモデルとして近年開発された。 一方で、 実臨床における同モデルの予測性能は依然として不明である。
2018~25年に広島大学病院および関連施設で1次治療としてARSI療法を受けたmCSPC患者196例を後ろ向きに検討した。 このうち186例はNADIRスコアを算出するために必要な完全なデータを有していた。
早期の良好なPSA反応は 「治療開始後6ヵ月以内にPSAが0.2ng/mL以下へ低下すること」 と定義した。
モデルの判別能は受信者動作特性曲線下面積 (AUC) を用いて評価し、 較正は較正プロットを用いて評価した。 患者をNADIRスコアに基づき3分位群に層別化し、 全生存期間 (OS) および去勢抵抗性前立腺癌 (CRPC) までの期間を含むイベント発生までの期間をカプラン・マイヤー法を用いて解析した。
早期に良好なPSA反応を示した患者の割合は、 NADIRスコアの上位、 中位、 下位の3分位群でそれぞれ61.3%、 33.8%、 17.7%と段階的に低下した (Cochran-Armitage傾向検定、 p<0.01)。
NADIRモデルは早期の良好なPSA反応の予測において許容可能な判別能を示し、 AUCは0.74 (95%CI 0.66-0.81) であった。
予測確率と観察されたアウトカムとの一致は、 NADIRで定義されたリスク群全体で維持されていた。
NADIRスコアを連続変数として扱った単変量解析では、 NADIRスコアが高いほど早期の良好なPSA反応と強く関連していた (10%上昇あたりOR 1.74 [95%CI 1.36-2.23]、 p<0.001)。
CRPCフリー生存率はNADIRで定義された3分位群間で有意差を示した一方で、 全生存期間 (OS) では有意差は認められなかった。
著者らは 「本実臨床コホートにおいて、 NADIRモデルは許容可能な予測性能を維持しており、 実診療への適用可能性および個別化された治療前の臨床管理における有用性が示唆された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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