背景
- レナリドミド+デキサメタゾン (Rd) は、 高齢の多発性骨髄腫患者に対する標準治療である.
- 今回の無作為化第Ⅲ相試験では、 新たに多発性骨髄腫と診断された高齢の中等度患者を対象に、 Rdの用量・スケジュールを調整した後、 デキサメタゾンを含まない1日10 mgの維持療法 (Rd-R) とRdの継続療法を比較し、 その有効性と実施可能性を無作為化多施設第Ⅲ相試験で比較検証した.
方法
- 対象は新たに多発性骨髄腫と診断された65歳から80歳までの高齢患者199例. 国際骨髄腫作業部会のフレイルスケールで評価し、 健康でも虚弱でもない、 体力が中程度の高齢者を対象とした. 観察期間の中央値は 37ヶ月であった.
- Rd継続群の98人の患者は、 レナリドミド (1日25mg21日間) とデキサメタゾン (1、8、15、22日目 20mg) を28日間サイクルで投与され、 疾患進行または不耐となるまで継続した.
- Rd-R群の101人の患者は、 上述のように28日間サイクルで9回行う導入療法を受け、 その後は疾患進行または不耐となるまで、 レナリドミド単独での維持療法 (1日10mg 21日間) のみ継続した.
- 主要評価項目は無イベント生存期間. 無イベント生存期間は、 病状の進行/あらゆる原因による死亡、 レナリドミドの中止、 グレード 4血液学的有害事象 またはグレード 3~4 の非血液学的有害事象と定義された.
結果
- 無イベント生存期間はRd-R群10.4カ月、 Rd継続群6.9カ月 (ハザード比0.70、 95%CI 0.51-0.95、 P=0.02)、 無増悪生存期間中央値は20.2カ月、 18.3カ月 (同0.78、 0.55-1.10、P=0.16)、3年全生存率は74%、 63%であった (同0.62、0.37-1.03、P=0.06).
- グレード3以上の非血液学的有害事象の発生率はRd-R群33%、 Rd継続群43%であった (P=0.14)
- 発現頻度が高かったグレード3以上の有害事象は好中球減少症 (21% vs. 18%)、 感染症 (10% vs. 12%)、 皮膚疾患 (7% vs. 3%)であった
結論
- 体力が中等度の高齢の多発骨髄腫患者では、 Rd を9サイクル投与した後に、 デキサメタゾンを投与しない減薬したレナリドミドの維持療法に切り替えることが可能である.
👨⚕️ 編集部からのコメント
多発性骨髄腫において、 免疫抑制作用のあるデキサメタゾンの使用方法は臨床医によって意見が分かれる. 本試験により、 レナリドミドと併用する治療の維持療法としてデキサメタゾンを抜くエビデンスが示されたということができる.
🗒 原著論文
Larocca A, et al. Dose/Schedule-Adjusted Rd-R vs Continuous Rd for elderly, intermediate-fit, newly diagnosed multiple myeloma patients. Blood. 2021 Jun 3;137(22):3027-3036
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