【BMC Med】アバタセプト投与で COVID-19ワクチンに対する液性免疫応答が低下
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【BMC Med】アバタセプト投与で COVID-19ワクチンに対する液性免疫応答が低下

【BMC Med】アバタセプト投与で COVID-19ワクチンに対する液性免疫応答が低下
Filippiniらは、 免疫抑制療法を受けている自己免疫疾患の患者38例とマッチングさせた健常者11例を対象に、 COVID-19 mRNAワクチン接種後の液性反応およびT細胞介在性反応を検討。 その結果、 生物学的製剤アバタセプトを投与された患者は、 2回接種のCOVID-19ワクチンに対する液性免疫応答が低下した。 本研究はBMC Med誌において発表された。

📘原著論文

Efficacy of COVID-19 mRNA vaccination in patients with autoimmune disorders: humoral and cellular immune response. BMC Med. 2023 Jun 14;21(1):210. PMID: 37316832

👨‍⚕️監修医師のコメント

3回目のワクチン接種が、 低下したT細胞介在性免疫応答のより強い抗体応答を誘導するのに有用であることが示されたことは非常に重要な結果です。

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アバタセプト

オレンシア点滴静注用250mg
オレンシア皮下注125mgシリンジ1mL
オレンシア皮下注125mgオートインジェクター1mL

リツキシマブ

リツキサン点滴静注500mg
リツキサン点滴静注100mg

トシリズマブ

アクテムラ点滴静注用80mg
アクテムラ点滴静注用200mg
アクテムラ点滴静注用400mg
アクテムラ皮下注162mgシリンジ
アクテムラ皮下注162mgオートインジェクター

背景

免疫抑制療法がSARS-CoV-2に対するワクチンの有効性に及ぼす影響は完全には明らかにされていない。

研究デザイン

対象

  • 免疫抑制療法を受けている自己免疫疾患の患者:38例
分類不能型免疫不全症 (CVID) 患者:4例
慢性リウマチ患者:34例
  • 性別・年齢をマッチさせた健常者 (対照群) :11例

介入

患者はコルチコステロイド療法および/または免疫抑制療法および/または生物学的製剤による治療を受けていた。

  • アバタセプト:14例
  • リツキシマブ:10例
  • トシリズマブ:10例

解析方法

  • SARS-CoV-2スパイク蛋白に対する総抗体価を電気化学発光免疫測定法により評価し、 CD4およびCD4-CD8 T細胞介在性免疫反応をIFN-γ放出アッセイ法により解析した。
  • 異なるスパイクペプチドで刺激した後のIFN-γ誘導性ケモカイン (CXCL9およびCXCL10) および自然免疫ケモカイン (MCP-1、 CXCL8、 CCL5) の産生をサイトメトリービーズアレイ法により解析した。
  • SARS-CoV-2スパイクペプチド刺激後のCD4およびCD8 T細胞におけるCD40L、 CD137、 IL-2、 IFN-γ、 IL-17の発現を細胞内フローサイトメトリー染色により解析し、 活性化状態を評価した。

研究結果

アバタセプト投与群の特徴

2回目のワクチン接種後、 アバタセプト投与群では、 対照群に比べて抗スパイク抗体反応が低下し (平均:432 IU/mL ± 562 vs 平均:1479 IU/mL ± 1051:P=0.0034)、 T細胞反応も低下した。 特に、 CD4/CD4-CD8刺激後のT細胞からのIFN-γの放出が有意に減少し (それぞれ、 P=0.0016およびP=0.0078)、 CD4刺激後のCXCL10およびCXCL9の産生 (P=0.0048およびP=0.001) およびCD4-CD8 T細胞からの産生 (P=0.0079およびP=0.0006) も減少した。

多変量一般線形モデル解析の結果

多変量一般線形モデル解析により、 アバタセプトへの曝露と、 刺激T細胞からのCXCL9、 CXCL10、 IFN-γの産生低下との関係が確認された。

クラスター解析の結果

クラスター解析の結果、 クラスター1 (アバタセプト投与例とリツキシマブ投与例の半数を含む) では、 単球由来ケモカインの減少に加え、 IFN-γ応答の減少が確認された。

スパイク蛋白刺激との関係

スパイク蛋白刺激後に特異的なCD4 T活性化細胞を産生する能力は、 すべての患者群で確認された。

3回目のワクチン接種の結果

3回目のワクチン接種後、 アバタセプト投与例は強い抗体産生能を獲得し、 2回目の投与後に比べて有意に高い抗S抗体価を示し (P=0.0047)、 他の群の抗S抗体価と同程度であった。

結論

アバタセプトを投与された患者は、 2回接種のCOVID-19ワクチンに対する液性免疫応答が低下した。 3回目のワクチン接種は、 低下したT細胞介在性免疫応答のバランスをとるために、 より強固な抗体応答を誘導するのに有用であることが示された。 異なる免疫抑制剤に曝露されたすべての患者は、 スパイク蛋白刺激後、 特異的CD4活性化T細胞を産生することができた。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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