海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Frankらは、 CD19を標的としたCAR-T細胞 (CAR19) 療法後に疾患進行が認められた大細胞型B細胞リンパ腫 (LBCL) 患者を対象に、 CD22を標的としたCAR-T細胞 (CAR22) 療法の有効性を単施設非盲検第I相用量漸増試験で検討した。 その結果、 CAR22による治療により持続的な臨床的有効性が示された。 本研究はLancetにて発表された。
有効性の報告が散見されるCAR-T細胞療法ですが、 効果が見られなかったり、 再発する患者さんがいるのは当然と言えます。 そのような患者群に対して、 標的をCD19からCD22に変えて2回目のCAR-T療法をしてみるというのは大変興味深く、 P1試験でLancetに掲載されるほど今後が期待されていると言えます。
CAR19後に再発したLBCL患者の転帰は不良である。 CD22はほぼ普遍的に発現しているB細胞表面抗原であるが、 LBCLにおけるCAR22の有効性は不明である。
CAR19療法後に再発またはCD19陰性のLBCLの18歳以上の成人患者 : 41例
CAR22を2つの用量*で静脈内投与した。
下記の3点とした。
- CAR22の製造可能性
- 最大耐用量
- 安全性
41例中1例が治療を中止した。 40例がアフェレーシスを受け、 38例 (95%) がCAR22の製造に成功し投与された。
確認された最大耐用量は、 CAR-T細胞100万個/kg体重であった。
最大耐用量を投与された29例で、 用量制限毒性やGrade3以上のサイトカイン放出群、 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群 (ICANS)、 免疫エフェクター細胞関連血球貪食性リンパ組織球症様症候群を発現した患者はいなかった。
著者らは、 「この第I相用量設定試験はCD22をLBCLの有望な免疫療法標的として同定し、 CAR19療法後に進行した患者に対するCAR22の臨床活性を実証した。 第I相試験としての限界を認識しつつ、 今後の研究で長期的な有効性を確立し、 CAR22療法によって最も利益を受けられる患者サブグループを特定する必要がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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