海外ジャーナルクラブ
6ヶ月前
神奈川県立がんセンターの山下年成氏らは、 局所進行および転移性ヒト上皮増殖因子2 (HER2) 陽性乳癌患者を対象に、 1次治療に用いるエリブリン+トラスツズマブ・ペルツズマブ (HP) 併用療法のタキサン+HP併用療法に対する非劣性を第III相試験EMERALDで検討した。 その結果、 エリブリン併用療法の非劣性が示唆された。 本研究はJournal of Clinical Oncologyに発表された。
Section Editorからは、エリブリンとタキサン系薬剤の毒性プロファイルは異なります。 この試験により効果を損なうことなく、 個々の患者の希望や毒性に関する懸念を治療選択の指針とすることが可能になります、とコメントが記載されています。
トラスツズマブ-ペルツズマブ (HP) +タキサン系抗がん薬は、 HER2陽性乳癌に対する現在の標準的な1次治療であるが、 浮腫や脱毛、 末梢神経障害などはQOLを低下させる。 本研究では、 抗HER2薬と、 良好な忍容性が期待できるエリブリンを併用した場合のタキサン系抗がん剤に対する非劣性を評価することを目的とした。
局所進行または転移性HER2陽性乳癌患者446例を対象に、 無作為化によりエリブリン群224例とタキサン群222例*に割り付けた。 主要評価項目は無増悪生存期間 (PFS)、 副次評価項目は全生存期間 (OS)、 奏効率、 患者報告によるQOL、 安全性と設定された。
エリブリン群はタキサン群と比較して、 PFSは非劣性だった (PFS中央値: 14.0ヵ月 vs. 12.9ヵ月、 HR 0.95 [95%CI 0.76-1.19])。
OS中央値は、 エリブリン群では未到達、 タキサン群で65.3ヵ月だった。 またQOL維持期間は、 エリブリン群でタキサン群に比べて数値的に長かった。
有害事象は両群で同程度だったが、 輸注反応、 皮膚症状、 下痢、 浮腫はタキサン群で多く、 好中球減少はエリブリン群で多かった。
著者らは 「エリブリン+HP療法は、 局所進行性および転移性HER2陽性乳癌1次治療の選択肢となる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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