海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Woyach氏らは、 再発/難治性の慢性リンパ性白血病 (CLL) およびB細胞性非ホジキンリンパ腫 (NHL) 患者を対象に、 BTK阻害薬nemtabrutinibの効果について、 ヒトでは初となる第Ⅰ相非盲検単群試験MK-1026-001を実施した。 その結果、 同薬は再発/難治性CLLおよびNHLに対し、 安全性と高い奏効率を示した。 本研究はCancer Discovery誌において発表された。
First in Human Study of the Reversible BTK Inhibitor Nemtabrutinib in Patients with Relapsed/Refractory Chronic Lymphocytic Leukemia and B-Cell Non-Hodgkin Lymphoma. Cancer Discov. 2023 Nov 6. PMID: 37930156
First in Humanとタイトルに付けられる研究は特別な研究です。 Pubmedでも1,600件くらいしかありません。 続編が強く期待されます。
B細胞腫瘍の治療に使うことができる薬剤は6種類ほど存在し、 いずれの薬剤も投与初期はほとんどの患者に奏効するが、 時間経過とともに増悪する傾向にある。 nemtabrutinibは、 BTKおよびC481S変異BTKを可逆的に阻害する経口薬であり、 再発/難治性の血液腫瘍に対する新しい治療選択肢として注目されている。
血液腫瘍に対する治療を2ライン以上受けた再発/難治性のCLL、 NHL、 およびワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症 (WM) 患者 : 48例
試験期間中、 nemtabrutinib 5mg~75mgを1日1回、 28日サイクルで投与し、 同薬に対する患者の反応を観察し、 有害事象の有無を監視した。
安全性、 第 II 相試験以降の推奨用量 (RP2D)
Grade≧3の有害事象 (AE) 発現率は89%であり、 好中球減少症 (23.4%)、 発熱性好中球減少症 (14.9%)、 肺炎 (14.9%)が多く認められた。
全例で化学療法薬によくみられる副作用を認めたが、 多くは軽度でコントロール可能であった。
最適用量は1日65mgであることが明らかになった。 再発CLL患者における1日65mg投与時の全奏効率は75%であった。
nemtabrutinibは特に再発/難治性CLLおよびNHLに対し、 安全性と高い奏効率を示した。 同薬は特にCLLに対する新しい治療法の可能性を示唆しており、 今後の研究にて、 他の標準治療薬との比較や、 他の有効な薬物療法との併用が検討される予定だという。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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