海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前
Irelandらは、 皮膚疾患に対するJAK阻害薬投与による主要心血管イベント (MACE) および静脈血栓塞栓症 (VTE) のリスクを無作為化比較試験の系統的レビューとメタ解析を用いて評価した。 その結果、 JAK阻害薬の使用により、 MACEやVTEのリスクが有意に増加することはなかった。 本研究は、 JAMA Dermatol誌において発表された。
Includeされたそれぞれの研究を見ていただくとわかりますが、 eventの発生率が極端に低いことが最大のlimitationだとわかります。 Poolしたことで幾分緩和されていますが、 ほとんどの研究でevent数が0なのが実際のところです。
JAK阻害薬投与によるMACEおよびVTEリスク増加のエビデンスが増えているが、 皮膚科疾患の適応を有する患者における包括的なリスク評価は行われていなかった。
皮膚疾患 (円形脱毛症、 乾癬、 白斑、 アトピー性皮膚炎、 扁平苔癬、 化膿性汗腺炎) に対しJAK阻害薬の全身投与またはプラセボの投与を行い、 MACE、 VTE、 重篤な有害事象 (SAE) のリスク、 忍容性を比較したプラセボ対照無作為化比較試験を対象とした。
MACEおよびVTE
SAEおよび忍容性 (治療関連有害事象による中止率で評価)
プラセボ群と比較し、 JAK阻害薬群でMACEおよびVTEのリスクの有意な増加は認められなかった。
MACE
I²=0.00%
リスク比 (RR) : 0.47 (95%CI 0.28-0.80)
VTE
I²=0.00%
RR : 0.46 (同0.26-0.80)
SAEおよび投与中止の割合に関しても、 両群間に有意差はなかった。
SAE
I²=12.38%
RR : 0.92 (95%CI 0.72-1.20)
投与中止の割合
I²=23.55%
RR : 0.94 (同0.76-1.19)
本メタ解析では、 中央値16週間のJAK阻害薬投与は、 皮膚疾患患者におけるMACEおよびVTEリスクに有意な増加をもたらさないことが示された。 この結果は、 特に若齢者の皮膚疾患治療における心血管リスク増加の懸念を軽減するものであるが、 長期使用に関するエビデンスは限定的であり、 さらなる検討が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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