インタビュー
1年前
「やろうと思えば何でもできる」 ーー。 柏崎総合医療センター (新潟県柏崎市) での初期臨床研修には、 こんな特徴があるといいます。 研修医1年目の古島聖先生と酒巻摩周先生に、 実際のところどうなのか本音を聞きました。
柏崎総合医療センターは、 柏崎・刈羽地域 (人口約10万人) 唯一の総合病院で、 common diseaseから2次救急まで対応しています。 救急搬送の受け入れ件数は年間約2000台で、 地域の約9割を占めています。
通常の研修プログラムのほか、 消化器病診療を深く研修できるプログラム、 総合診療や救急診療に特化したプログラム、 神奈川の人気病院で1年目の研修を行う「たすきがけ」 プログラムなどがあります。
初期研修医が公衆衛生学修士(MPH) や経営学修士 (MBA) などを取得するための大学院の学費等 (最大約1250万円) が、 柏崎市から貸与されます。 初期研修後、 7年以内に常勤医として2年間就業、 または5年以内に非常勤医として50回の当直業務の条件を満たすと、 返済が免除されます。
ーー実際に研修した感想は。
酒巻先生 「とにかく自由度が高いです。 プログラムとしてはまず内科を24週間回りますが、 その後の診療科の順番は決まっていません。 興味や関心に応じてローテーションを自分で組むことができます。 たすきがけをしている神奈川の病院も1ヶ月単位での調整が可能です」
古島先生 「1日のスケジュールの自由度も高いです。 元々研修医が多くいない (院外研修1人を含めて現在は計6人) こともあり、 研修医に決まった役割がありません。 例えば内視鏡をみながら、 興味のある他の手技をみたりレクチャーを受けたりする時間が作れます」
古島先生 「指導が手厚いのは良い点です。 ローテーションで回っている研修医は基本的に1人なので、 上級医を独り占めしてマンツーマンの指導を受けられます」
ーーそもそも、 研修先を決めた理由は
酒巻先生 「埼玉出身で新潟大卒なので、 埼玉と新潟で研修先を探していました。 新潟は、 MBA(経営学修士) やMPH (公衆衛生学修士) などに必要なマネジメント力や課題解決力などを身につける『イノベーター育成臨床研修コース』や、 MPH、 MBAなどへの海外留学の支援に力を入れており、 魅力を感じました」
「当院は400床で、 患者さんの入院から退院までを概ね自分で把握できる。 そのちょうどいい規模感もポイントでした。 実際、当直での患者さんは多い日でも1日15人くらいです。 それくらいなら上級医からのフィードバックもしっかり受けられます」
古島先生 「群馬出身ですが、 祖父母が柏崎に住んでいるため馴染みがありました。 実際に病院見学をした際、 上級医との距離が近く、 相談しやすい雰囲気に魅力を感じて研修先を決めました」
ーー研修以外の環境について
酒巻先生 「住宅は規程の上限まで全額補助が出ます。 病院側が新築アパートなどの紹介もしてくれるのは有り難いです」
「外から見ると田舎と捉えられがちですが、 意外と僻地ではありません (笑)。 国道沿いに飲食店などがたくさんありますし、 駅前には商店街もあります。 朝も車の渋滞は発生しますよ。 東京まで2時間強で行くこともでき、 新潟市ー東京間よりも早いくらいです」
古島先生 「コメディカルの方が優しいです。 体調を崩して休んだ時、 総務の方も外来看護師さんも気遣って声をかけてくれました。 病院全体が温かい雰囲気です」
ーー医学生へのメッセージを。
酒巻先生 「 私は公衆衛生大学院への留学を目指し、 その準備のための時間を確保しようと考えています。 臨床業務に忙殺されると興味のある分野に時間が割けなくなりますが、 ここではスケジュールを自由に組めます。 それでいて暇すぎることもありません。 自分らしさを求める人にオススメです」
古島先生 「好きなことが何でもできます。 手技でも外来でも、 自分の希望を伝えれば機会を提供してもらえます。 酒巻先生のようにイノベ・留学に時間を割くのもありですし、 研修自体を充実させたり、 プライベートとの両立を重視したり、 個人の価値観に合わせた研修生活ができますよ」
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。