海外ジャーナルクラブ
26日前
Parkらは、 韓国の国民健康保険におけるデータベースを用いて2009~16年に2年ごとに4回のマンモグラフィ検査実施の履歴がある40歳以上の女性を対象として抽出し、 乳房濃度の変化の軌跡が異なる5つのコホートを特定したうえで、 乳癌リスクとの関連性を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 高濃度乳房の持続、 あるいは経時的な濃度の増加により乳癌リスクが高くなることが示された。 本研究は、 BMJ誌にて発表された。
Immortal time bias (4回のスクリーニングを受けずに亡くなってしまった患者がいること) のため、 2回以上もしくは3回以上スクリーニングを受けた患者で感度分析を行っています。
これまでの研究において乳房濃度と乳癌リスクとの関連が一貫して報告されており、 乳房濃度が乳癌リスクの予測に重要な役割を果たすことが示唆されている。
一方で、 乳房濃度の増加と乳癌リスクの増加との関連については報告が散見されるが、 さまざまな乳房濃度の経時的な変化に対する乳癌リスクは依然として不明確であった。
そこで本研究では、 乳房濃度の経時的な変化に基づく5つの異なる集団を特定し、 それぞれの変化の軌跡と乳癌リスクとの関連を評価した。
174万7,507例を対象に、 Breast Imaging Reporting and Data System (BI-RADS) 分類を使用して乳房濃度を評価した。 また、 乳房濃度の変化の軌跡を特定するために、 集団ベースの軌跡モデリングを実施した。
主要評価項目は乳癌発症*とした。 また、 閉経状態やBMIの変化に関するサブグループ解析が行われた。
5つのコホートが以下のとおり特定された。
マンモグラフィによる最終スクリーニングから平均5.9年の追跡期間の後、 1万9,001例が乳癌であることが判明した。
第1群と比較した他群の乳癌リスクの調整HRは以下のとおりであり、 高濃度乳房の持続、 あるいは経時的な濃度の増加により、 乳癌リスクは有意に高くなった。
また、 閉経状態やBMIの変化にかかわらず、 さまざまな年齢層で同様の結果が観察された。
著者らは 「本研究により、 乳房濃度の経時的な変化に基づく5つの異なるコホートが特定された。 また、 高濃度乳房の持続、 あるいは経時的な濃度の増加により乳癌リスクが高くなることが明らかになった。 この知見は、 最初のマンモグラフィによる乳房濃度の測定結果、 さらには経時的に乳房濃度が増加する女性の特定が、 乳癌リスクを評価する上で重要であることを示唆している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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