【解説】骨転移診療ガイドライン改訂版に示された新たな診療方針
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HOKUTO編集部

11ヶ月前

【解説】骨転移診療ガイドライン改訂版に示された新たな診療方針

【解説】骨転移診療ガイドライン改訂版に示された新たな診療方針
『骨転移診療ガイドライン』¹⁾が昨年(2022年)12月に7年ぶりに改訂(第2版)した。 第61回日本癌治療学会では、 同ガイドライン作成ワーキンググループ長で秋田大学大学院臨床腫瘍学講座教授の柴田浩行氏が、 『骨転移診療ガイドライン改訂第2版』の要点を紹介した。

ガイドライン作業プロセスの概略

クリニカルクエスチョンは大幅に増加

2015年に刊行された初版はクリニカルクエスチョン(CQ)が26個であったのに対し、 改訂第2版ではCQは41個と大幅に増加。 また作成委員・協力委員は、 初版の30人から、 改訂第2版は62人 (9学会) と大幅に増加し、 より多領域の専門家の意見を取り入れた。

改訂のポイントと3つの解説

①骨転移を認めた場合の医療・介護的介入は? [アルゴリズム]

骨転移診療のアルゴリズムにおいて、 スクリーニングで骨転移ありと診断したあとの介入の部分が大幅に改訂された。
 - 初版では、 手術の適応の有無を判断し、 適応がなければ放射線治療の適応の有無を判断
 - 改訂版では以下の4つの介入が横並びになった(同時介入の必要性)
 1. 局所療法
 2. 薬物療法
 3. リハビリテーション医療・装具
 4. マネジメント

💡柴田先生の解説

多職種が同時的に介入を開始し、 話し合うことが重要である。 また、そのために、 話し合いの場として、 骨転移キャンサーボードが必要である。

②骨転移症例における予後予測スコアリングは有用か? [Clinical Question]

推奨 : 骨転移症例における予後予測スコアリングの使用を推奨する (CQ14、 推奨度 弱い、エビデンスの強さD)

💡柴田先生の解説

秋田大学で、 この10年の骨転移を🔢新片桐スコアによる階層分けを行った。 新片桐スコア7-10点の症例において、 2014年の原著論文²⁾の1年生存率が6.0%に対し、 本研究では20%と改善していた。 近年、 がん患者の生存期間は延長傾向にある。 それに伴って骨転移に遭遇する機会も増えると予想される。

③骨転移に免疫チェックポイント阻害薬は有効か?(Future Research Question)

回答 : 一部のがん種に対して骨転移に対する効果を認めるが、 エビデンスに乏しい。

💡柴田先生の解説

秋田大学での探索的な研究でも、 免疫チェックポイント阻害薬使用の有無による骨転移患者の生存率を比較すると、 免疫チェックポイント阻害薬の使用で良好な傾向が示唆された。 今後、 免疫チェックポイント阻害薬を含む新規の薬剤の登場によって、生存期間はさらに延長すると思われる。 そのような患者の日常生活動作や生活の質を維持するために骨転移の適切な治療が求められてゆくと思われる。

まとめ

骨転移の持つネガティブインパクト

  1. 可動性の障害
  2. QOLの低下
  3. 生存期間の減少
  4. 医療費の増加

骨転移診療の目標は、 患者の日常生活動作や生活の質を維持することで、 そのために、 どのように治療を進めていくかの戦略を知ることが大切である。 今回のガイドライン改訂の大きなポイントとなっている。

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参考文献

1) 日本臨床腫瘍学会. 骨転移診療ガイドライン改訂第2版. 2022 南江堂

2) Cancer Med 2014 Oct;3(5):1359-67.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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