HOKUTO編集部
6ヶ月前
本稿では2023年10月に発刊された『制吐薬適性使用ガイドライン2023年10月改訂 第3版』 (以下、 制吐薬適正使用ガイドライン2023) の重要な改訂ポイントについて解説していく。 第6回となる今回は、中催吐性レジメンで管理困難なケースについて、 Q&A形式で概説する (解説医師 : 国立癌研究センター中央病院頭頸部・食道内科/消化器内科 山本駿先生)。
中催吐性レジメンで標準的な制吐療法を行うも、 悪心・嘔吐の管理が難しい場合は?
質の高いエビデンスは存在しないが、 オランザピンの追加やデキサメタゾンの投与期間の延長、 5-HT₃受容体拮抗薬の変更、 NK1受容体拮抗薬の追加 (2剤併用療法時) 等が考慮される。
各癌種の実臨床において頻用されている中催吐性レジメンに対する標準的な制吐療法は、 デキサメタゾンと5-HT₃受容体拮抗薬の2剤併用療法であり、 カルボプラチン投与時にはこちらの2剤併用療法に、 NK1受容体拮抗薬を加えた3剤併用療法とされている¹⁾。
ただ中催吐性レジメンは悪心・嘔吐の発現頻度が30~90%と定義されており、 一部の症例では上記の標準的な制吐療法を行っても治療効果が乏しいケースが散見される。
▼中催吐性レジメンにおける推奨
中催吐性レジメンにおいても3剤併用の制吐療法を行う場合にはオランザピンの上乗せが弱く推奨されている¹⁾ことから、 まずはオランザピンの追加が検討される。 一方、 2剤併用の制吐療法を行う場合にはオランザピンの上乗せに関しては推奨なしと記載されている¹⁾。
▼実臨床における対応
実臨床においては、 2剤併用の制吐療法を用いていた場合、 NK1受容体拮抗薬の追加も時に行われており、 有害事象の程度によってはデキサメタゾンの投与間隔の延長や、 第1世代の5-HT₃受容体拮抗薬を使用している場合には第2世代の5-HT₃受容体拮抗薬への変更も検討される。
近年では新規のNK1受容体拮抗薬であるホスネツピタント²⁾³⁾も実臨床で使用可能となっているが、 明確なエビデンスが乏しく、 今後の創出が期待される。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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