【WU-KONG28】EGFR exon20ins NSCLCの1次治療、 sunvozertinib単剤でPFS延長
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HOKUTO編集部

5日前

【WU-KONG28】EGFR exon20ins NSCLCの1次治療、 sunvozertinib単剤でPFS延長

【WU-KONG28】EGFR exon20ins NSCLCの1次治療、 sunvozertinib単剤でPFS延長
EGFR exon20ins陽性の進行非小細胞肺癌(NSCLC)の1次治療を対象に、経口EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)sunvozertinib単剤の有効性・安全性をプラチナ併用化学療法と比較した多国籍第Ⅲ相無作為化比較試験WU-KONG28の主要解析の結果、無増悪生存期間(PFS)中央値を10.3ヵ月へと有意に延長した。米・MD Anderson Cancer CenterのJohn V. Heymach氏が発表した。同試験の詳細は、 N Engl J Med.誌2026年5月29日オンライン版¹⁾に掲載された。

背景

EGFR exon20ins NSCLCの1次治療で有効なEGFR-TKIが存在しない

EGFR exon20insは、 EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの最大12%を占め、 100種類を超える変異型が報告されている不均一な病態であり、 予後不良とされる。

Sunvozertinib (DZD9008) は、 EGFR exon20insをはじめとするEGFR遺伝子変異を標的に合理設計された、 経口の強力なEGFR-TKIであり、 野生型EGFRに対する選択性を有する。 プラチナ化学療法後の進行NSCLCに対しては、 米食品医薬品局 (FDA) が承認した唯一のEGFR-TKIであり、 中国でも通常承認されている。 一方、 1次治療で承認されたEGFR-TKIはこれまで存在しなかった。

現在の1次治療は、 EGFR-MET二重特異性抗体アミバンタマブの上乗せの有無にかかわらず、 プラチナ併用化学療法が中心である。 本試験では、 この治療設定におけるsunvozertinib単剤の有用性が検証された。

研究デザイン

化学療法群ではクロスオーバーを許容

WU-KONG28 (NCT05668988) は、 EGFR exon20ins陽性NSCLCの1次治療において、 sunvozertinib単剤とプラチナ併用化学療法を比較した、 国際第Ⅲ相無作為化比較試験である。15カ国154施設で実施されたが、 日本の施設は含まれていない。

対象は、 細胞診または組織診で確認された局所進行または転移性の非扁平上皮NSCLCで、 EGFR exon20insを有する新規診断または未治療の成人患者 (ECOG PS 0/1) とした。 患者はベースライン時の脳転移の有無で層別化され、 sunvozertinib群または化学療法群に1 : 1で無作為に割り付けられた。

sunvozertinib群では、 sunvozertinib 300mgを1日1回経口投与した。 化学療法群では、 カルボプラチン (AUC 5) +ペメトレキセド (500mg/m²) を3週ごとに最大6サイクル投与し、 その後は病勢進行などが認められるまでペメトレキセド維持療法を継続した。 なお、 化学療法群では、 BICRで確認された病勢進行時にsunvozertinibへのクロスオーバーが許容された。

主要評価項目はBICR評価のPFS

主要評価項目は盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS(RECIST 1.1)とした。副次評価項目は全生存期間(OS、主要副次)、奏効率(ORR)、奏効持続期間(DoR)、安全性などとした。データカットオフは2026年1月16日だった。

試験の結果

患者背景 : 約半数が女性・非喫煙者

計324例がsunvozertinib群(163例)と化学療法群(161例)に割り付けられた。患者背景は両群でおおむね均衡しており、年齢中央値はいずれも62.0歳、女性がそれぞれ53.4%・65.2%、非喫煙者が62.0%・66.5%だった。アジア人がそれぞれ62.6%・63.4%、ベースライン脳転移を有する例が12.9%・12.4%だった。EGFR exon20insのサブタイプは769_ASVが31.3%・32.3%、770_SVDが12.9%・19.9%などだった。

主要評価: PFS中央値は10.3ヵ月vs7.5ヵ月、 進行・死亡リスクを35%低減

BICR評価のPFS中央値は、 sunvozertinib群では10.3ヵ月(95%CI 8.3-14.0ヵ月)であり、化学療法群の7.5ヵ月(95%CI 6.7-8.5ヵ月)に比べて、有意に改善した(HR 0.65、95%CI 0.50-0.85、p=0.0008)。

12ヵ月PFS率は46.1% vs 26.7%、18ヵ月PFS率は33.2% vs 17.1%だった。追跡期間中央値はsunvozertinib群24.0ヵ月、化学療法群18.0ヵ月だった。

PFSベネフィットはサブグループ全体で一貫した傾向を示し、アジア人(HR 0.56)、EGFR exon20insの769_ASVサブタイプ(HR 0.46)、near loop領域(HR 0.59)などで認められた。

一方、ベースライン脳転移を有する例ではHR 0.96 (95%CI 0.44-2.08) と点推定は1に近く、脳転移を有しない例 (HR 0.62) とは異なる傾向を示した。 ただし、該当例は両群計41例と少なく信頼区間も広いため、このサブグループ結果の解釈には注意を要する。

副次評価 : ORRは58.9%、 DoR中央値は11.2ヵ月

ORRはsunvozertinib群で58.9% (95%CI 50.9-66.5%)、 化学療法群で31.1% (同24.0-38.8%) であり、 sunvozertinib群で有意に高かった (オッズ比3.2、 95%CI 2.0-5.0、 p<0.0001)。 DCRはそれぞれ94.5%、 85.7%だった。

腫瘍縮小率の中央値は42.1% vs 24.7%で、 DoR中央値はsunvozertinib群11.2ヵ月 (95%CI 8.2-13.9ヵ月)、 化学療法群7.1ヵ月 (同6.9-11.1ヵ月) と、 sunvozertinib群で延長が認められた。

PFS2中央値は21.7ヵ月 (95%CI 16.1-24.3ヵ月) vs 15.5ヵ月 (同13.4-18.6ヵ月) であり (HR 0.70、 95%CI 0.52-0.95、 p=0.0111)、 後治療下でも長期的なベネフィットが示唆された。 OSデータはimmature (maturity 38.9%) で、 中央値はsunvozertinib群29.8ヵ月 (95%CI 21.8ヵ月-NE)、 化学療法群28.8ヵ月 (同20.7ヵ月-NE) だった。 なお、 化学療法群でBICR確認の病勢進行を来した症例の90.2%がsunvozertinibへクロスオーバーしていた。

安全性 : 新たな安全性シグナルはなく、 薬剤関連の死亡例なし

安全性は、 実投与例 (sunvozertinib群163例、 化学療法群150例) を対象に評価された。 治療関連有害事象 (TRAE) はsunvozertinib群の全例 (100.0%) に認められ、 Grade 3以上のTRAEは61.3% (化学療法群49.3%) だった。

一方、 TRAEにより治療中止に至った割合はsunvozertinib群7.4%、 化学療法群11.3%であり、 sunvozertinib群では薬剤関連TRAEによる死亡例は認められなかった (化学療法群では肺炎による1例)。

sunvozertinib群で高頻度に認められたTRAE (全Grade) は、 下痢84.0% (Grade 3以上13.5%)、 血中CK増加 (CPK) 55.2% (同20.2%)、 発疹51.5% (同0.6%)、 爪囲炎48.5% (同3.7%) などで、 いずれも野生型EGFR阻害に関連する事象だった。 用量中断・減量の主因となった血中CPK増加と下痢は、 いずれも治療中止には至らなかった。

結論

単剤経口投与の利点を備えたEGFR exon20ins NSCLCの1次治療選択肢

以上の結果を踏まえ、 Heymach氏はsunvozertinibについて、 単剤で経口投与が可能な利便性を有し、 EGFR exon20ins陽性NSCLCに対する1次治療選択肢となり得る薬剤として位置付けた。

出典

1) N Engl J Med. 2026年5月29日オンライン版


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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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