海外ジャーナルクラブ
2年前
Irieらは、切除不能な膵管腺癌(PDAC)患者を対象に、ゲムシタビンベースのレジメンによって誘発された間質性肺疾患(ILD)の最適な管理方法を多施設共同後ろ向き研究で検討。その結果、S-1単剤療法とFOLFOXは、薬剤誘発性ILD後の化学療法として同等の有効性を持つことが明らかとなった。本研究はBMC Cancer誌において発表された
後ろ向き解析で症例数が24例と少数であり、本研究グループの論文採択に際しての困難が容易に想像できます。タイトルでClinical benefitというアカデミアではあまり聞きなれないtermを使用されているところからもその苦労が透けて見えます。評価は今後のさらなる研究成果を待つしかないと思います。
薬剤誘発性ILDは、PDACに対する現在の化学療法戦略において、まれな有害事象ではない。
ゲムシタビンによるILD発症後にS-1単剤療法またはFOLFOXを受けたPDAC患者
S-1単剤療法またはFOLFOXの投与
全生存期間(OS)
ILDと診断された24例を対象とし、その後にS-1単剤療法またはFOLFOXによる補助的な化学療法を受けた17例が登録された。
S-1単剤療法とFOLFOX間でOSに有意差はなかった(290.0日 vs. 未定、p=0.39)。
薬剤誘発性ILDの再発は、どの症例においても観察されなかった。
CTCAE Grade 3または4の有害事象はS-1単剤群では23.1%(3例)、FOLFOX群で25.0%(1例)で確認された(p=0.93)。
切除不能PDACにおけるゲムシタビンベースのレジメンによるILD後の化学療法として、S-1単剤療法とFOLFOXの効果は同等であった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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