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後期研修医のための呼吸器内科現場診療

242日前

【COPD急性増悪】後期研修医のための呼吸器内科現場診療 (日赤医療センター 久世眞之先生)

COPD急性増悪診療のポイント

  1. 呼吸不全を引き起こす急性増悪以外の原因として代表的な気胸や肺血栓塞栓症、 心不全の合併もしくは除外を必ず行う.
  2. 呼吸不全の程度により入院適応およびICU入室適応を見極める.
  3. 酸素療法では、 CO₂の貯留有無を確認し適切なデバイスを選択する.
  4. 治療は、 ABCアプローチ (抗菌薬、 気管支拡張薬、 副腎皮質ステロイド)で開始する.

COPD患者の呼吸状態悪化時の診療

COPD患者は様々な要因により呼吸困難悪化をきたすことに留意する必要がある. 急性増悪のほか、 気胸、 肺血栓塞栓症、 心不全などの合併もしくは除外を必ず行う. 以下に初期対応の流れを記載する.

1. 意識レベル、呼吸状態、循環の評価

  • 意識レベルが悪ければ原因検索を行いつつ, 呼吸・循環動態の維持に必要な処置を行う必要がある.
  • 特に, 胸郭運動不良や在宅酸素療法使用患者でアステリキシスや意識障害があればCO₂貯留を疑う必要がある.

2. 低酸素血症に対する酸素療法デバイス

  • Ⅰ型呼吸不全(PaCO₂≦45 Torr)とⅡ型呼吸不全(PaCO₂>45 Torr)の区別は重要である.
  • Ⅱ型呼吸不全に対して漫然と酸素流量をあげていくと容易にCO₂ナルコーシスに至ることがあるため注意を要する (救急搬送で高流量酸素投与を余儀なくされた場合も).

① SpO₂ 88%~92%目標に低流量酸素を使用.

  • 低酸素血症改善あり⇒②へ
  • 低酸素改善なし⇒流量⬆︎ or デバイス変更.

動脈血液ガス分析でCO₂の評価

  • 高CO₂血症なし (PaCO₂≦45Torr) ⇒酸素継続
  • 高CO₂血症あり (PaCO₂>45Torr) ⇒③へ

③ 動脈血液ガス分析でpHの確認

  • ≧7.35⇒酸素継続、1~2時間で血ガス再評価.
  • < 7.35⇒NPPVもしくはIPPVの適応.
NPPV:noninvasive positive pressure ventilation (非侵襲的陽圧換気療法)、 IPPV:invasive positive pressure ventilation (侵襲的陽圧換気療法)
ここまでで呼吸状態や循環動態が不安定であればICU入室適応と言える.

酸素療法デバイスについて

鼻カヌラ、 ベンチュリ―マスク

  • 使用は簡便だが、吸入酸素濃度の上限が低い

高流量酸素カニュラ (high flow nasal cannula : HFNC)

  • 高流量酸素濃度を担保でき, 装着の苦痛も NPPVと比較すると少ない. ただし、換気量のモニターや安定したPEEP管理はできない.

非侵襲的陽圧換気療法 (NPPV)

  • 安定したPEEP管理と陽圧補助により換気量を確保できる. 気管内分泌物が多い場合や装着苦痛が強い症例では使用しづらい.

侵襲的陽圧換気療法 (IPPV)

  • 確実に酸素供給および換気を確保できる. 鎮静下での導入や使用中の合併症ならびにウィーニング困難症例などもあり, 導入する前には適応を十分考慮する必要がある.

急性増悪治療 (ABCアプローチ)

Antibiotics (抗菌薬)

  • 気道感染の起因菌として, 肺炎球菌, インフルエンザ桿菌, モラクセラカタラーリス, 緑膿菌やウイルス (ライノウイルス, インフルエンザウイルスなど) が挙げられる.
  • アンピシリン・スルバクタムやピペラシリン・タゾバクタムなどを選択し, 培養結果に応じて速やかにde-escalationを行う.

Bronchodilator (気管支拡張薬)

  • 急性増悪時は, 短時間作用型β₂刺激薬(SABA)を1〜数時間毎にネブライザーや定量噴霧式吸入器を使用する.
  • 呼吸困難が強い場合は, ネブライザーの方が吸入しやすいことが多い.

Corticosteroid (副腎皮質ステロイド)

  • プレドニゾロン換算で30~40mg/日を投与する. 投与期間は10〜14日とされていたが, 近年では5~7日程度での投与で効果が変わらないとされている.

参考文献

  1. 日本呼吸器学会編 : 新呼吸器専門医テキスト改訂第2版. 南江堂, 東京, 2020

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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