
Sorensenらは, 6mm以下の無症状腎結石を内視鏡的に除去することの利点を多施設共同無作為化比較試験によって検討. その結果, 尿管結石または対側腎臓結石の除去手術中に小さな無症状の腎結石を除去すると,除去しない場合に比べて再発率が低くなることが明らかとなった. 本研究は, NEJM誌において発表された.
📘原著論文
Sorensen MD, et al, Removal of Small, Asymptomatic Kidney Stones and Incidence of Relapse. N Engl J Med. 2022 Aug 11;387(6):506-513.PMID: 35947709
👨⚕️ HOKUTO監修医コメント
N数もそれほど多くなく, 再発予防薬が1/4にしか投与されていなかったりと, 色々なlimitationがある研究なのですがNEJMに掲載されることから 「編集者側がこの研究成果を欲していたのでは」 と推察されます.
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聖路加国際病院救急医監修
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背景
- 小さな (6mm以下) 無症状の腎結石を内視鏡的に除去することの利点は不明である.
- 現在のガイドラインでは, このような判断は泌尿器科医と患者に委ねられている. 旧来の非内視鏡技術を用いた前向き研究やいくつかの後ろ向き研究では経過観察が支持されている.
- しかし, 発表されたデータによると, 大きな結石を除去した時点で小さな腎臓結石をそのままにしておくと, 術後5年以内に他の症状を引き起こすものが約半数あることが示されている.
研究デザイン
- 尿管結石または対側腎結石を内視鏡的に除去する際に,残存する無症状の小結石を38例で除去し (治療群) ,35例では除去しなかった (対照群) .
- 主要評価項目:将来の救急部受診,手術,二次結石の成長によって測定される再発.
研究結果
- 平均追跡期間4.2年時点において, 治療群は対照群よりも再発までの時間が長かった.
ログランク検定によるP<0.001
- 再発までの平均 (±SE) 時間は,治療群が対照群よりも75%長かった.
1631.6±72.8日 vs. 934.2±121.8日
- 再発のリスクは, 治療群が対照群より82%低く (HR 0.18, 95%CI 0.07-0.44) , 治療群の16%が再発したのに対し, 対照群では63%であった.
- 治療により手術時間は中央値で25.6分 (四分位範囲 18.5~35.2) 増加した.
- 術後2週間以内に救急外来を受診した患者は治療群で5名, 対照群で4名であった.
- 腎臓結石のpassingは治療群8名, 対照群10名であった.
結論
- 尿管結石または対側腎臓結石の除去手術中に小さな無症状の腎臓結石を除去すると,除去しない場合に比べて再発の発生率が低く,手術に関連する救急外来受診回数も同程度であった.