HOKUTO編集部
2ヶ月前
切除可能NSCLCの術前療法において抗PD-L1抗体デュルバルマブ+化学療法+抗体薬または抗体薬物複合体の新規併用療法の有効性および安全性を検証した第Ⅱ相多施設共同非盲検多群試験NeoCOAST-2の結果より、 デュルバルマブ+化学療法+抗体薬/抗体薬物複合体併用によりpCR率とmPR率が改善し、 忍容性も良好な可能性が示された。 米・The University of Texas MD Anderson Cancer CenterのTina Cascone氏が発表した。
第Ⅱ相NeoCOAST-2試験では、 切除可能な早期非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象に、 病理学的完全奏効 (pCR) 率の向上を目的とした新規の周術期併用療法 (術前デュルバルマブ+化学療法+新規薬剤、 および術後デュルバルマブ±新規薬剤) を評価している。
今回は、 デュルバルマブをベースとした新規薬剤(抗CD73抗体oleclumab、 抗NKG2A抗体monalizumab、 抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan[Dato-DXd])の周術期併用療法の有効性および安全性の結果が報告された。
Stage IIA~IIIB (AJCC第8版) の切除可能NSCLCでEGFR遺伝子およびALK遺伝子が野生型であり、 ECOG PS 0~1の患者を対象とした。
202例を以下の4群に割り付け、 術前療法を3週毎に4サイクル、 術後療法を病勢進行まで、 または最長1年間施行した。
主要評価項目はpCR、 安全性、 毒性だった。 その他、 病理学的奏効 (mPR) 率、 手術率などが評価された。
今回はArm 1、 Arm 2、 およびArm 4の結果が発表された。
各群の年齢中央値、 男女比、 アジア人の割合は概ね一致していた。 PD-L1発現度、 病理組織型の層別因子では、PD-L1<1%は24.1~33.3%、 PD-L1≧1%は66.7~75.9%、 腺癌は61.1~65.8%、 扁平上皮癌は27.8~31.6%だった。 病期はStage IIIAが45.8~52.6%を占めた。
データカットオフは2024年6月17日で、 術前療法を完了した割合 (Arm 1、 2、 4) はそれぞれ74.3%、 76.1%、 72.1%だった。 そのうち手術を行った患者割合はそれぞれ92.2% (R0率 94.5%)、 92.1%(同96.2%)、 95.8% (同89.7%) だった。 術後療法を開始した患者割合は、 それぞれ83.6%、 74.1%、 83.3%だった。
pCR率はArm 1が20.0%、 Arm 2が26.7%、 Arm 4が34.1%だった。
mPR率はArm 1が45.0%、 Arm 2が53.3%、 Arm 4が65.9%だった。
PD-L1発現度別のpCRサブグループ解析の結果、 いずれのArmにおいても、 PD-L1発現割合にかかわらずpCRが示された。
PD-L1 TPS <1%のpCR率
PD-L1 TPS ≧1%のpCR率
PD-L1発現度別にpCR率をより細分化 (PD-L1 TPS1%未満、 1~49%、 50%以上) したところ、 以下のような結果が示され、 PD-L1発現度が高いほどpCR率が高いことが明らかにされた。
PD-L1 TPS <1%のpCR率
PD-L1 TPS 1%~49%のpCR率
PD-L1 TPS ≧50%のpCR率
術前/術後療法におけるGrade3以上の治療関連AE、 治療中止に至ったAE発現率はそれぞれ以下の通りだった。
術前療法
術後療法
Cascone氏は 「StageII~IIIBの切除可能NSCLC患者の術前療法においては、 Arm 4 (Dato-DXd+デュルバルマブ+化学療法) が最も高いpCR率とmPR率を示した。 また今回評価された全ての群において、 現在承認されている術前療法および周術期免疫療法に基づくレジメン¹⁾²⁾に匹敵する良好な安全性プロファイルと、 手術率が示された。 Neocoast-2試験は、 切除可能なNSCLCを対象とした術前療法において、 抗体薬物複合体の有効性と安全性を示した初の第Ⅱ相国際共同試験である」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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