【Thorax】COPD、 アジスロマイシンによる急性増悪予防効果の予測因子5つを同定
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海外ジャーナルクラブ

2ヶ月前

【Thorax】COPD、 アジスロマイシンによる急性増悪予防効果の予測因子5つを同定

【Thorax】COPD、 アジスロマイシンによる急性増悪予防効果の予測因子5つを同定
Verstraeteらは、 中等度から重度のCOPD患者を対象にマクロライド系抗菌薬アジスロマイシンとプラセボの急性増悪予防効果を比較した2件の二重盲検無作為化比較試験の患者データを基に、 アジスロマイシンの長期投与により急性増悪予防効果が得られるレスポンダーを適切に識別するため、 個別治療効果 (ITE) を推定した。 その結果、 アジスロマイシンの長期投与による治療効果に異質性が認められ、 ITEの予測因子5つが同定された。 本研究はThorax誌において発表された。

📘原著論文

Identifying azithromycin responders with an individual treatment effect model in COPD. Thorax. 2025 Jul 3:thorax-2025-223095. Online ahead of print. PMID: 40610208

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本研究はバイオマーカーの制約、 対象集団の偏り、 データセット差異、 そしてモデルの一般化限界があり、 臨床応用にはRCTによる前向き検証が必要とされています。

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薬剤情報

ジスロマック錠250mg

マクロライド系抗生物質

ツール

COPDの病期分類 (GOLD分類)

GOLD (Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)

CAT (COPD評価テスト)

COPDの治療評価

BODE指数

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BAP-65スコア

慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪の院内死亡予測

ADO指数

慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の生存期間予測

DECAFスコア

慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪の死亡リスク評価

背景

アジスロマイシンの恩恵を受ける可能性が最も高い患者を特定

アジスロマイシンの長期投与は、 COPDの急性増悪の予防に効果的である。 しかし、 不要な薬剤曝露を最小限にするためには、 治療に反応するレスポンダーと反応しないノンレスポンダーをより適切に識別することが望まれる。

そこで本研究では、 治療効果の異質性を評価し、 予防的治療の恩恵を受ける可能性が最も高いレスポンダーを識別するため、 ITEの推定を試みた。

研究デザイン

2試験のデータを基にアジスロマイシンが年間増悪率に及ぼすITEを評価

中等度から重度のCOPD患者を対象にアジスロマイシンとプラセボの急性増悪予防効果を比較した二重盲検無作為化比較試験MACRO¹⁾に参加した1,025例の患者データを用いて、 アジスロマイシンが年間増悪率に及ぼすITEを評価した。 因果関係の機械学習モデルとして 「Causal Forest」 を使用した。

得られた所見は、 MACRO試験同様に中等度から重度のCOPD患者を対象にアジスロマイシンとプラセボの急性増悪予防効果を比較した二重盲検無作為化比較試験COLUMBUS²⁾に参加した83例の独立したデータで検証した。

結果

ITEが最も良好と予測された患者群の年間増悪率は全体と比べて有意に減少

MACRO試験およびCOLUMBUS試験の独立検証コホートにおいて、 ITEが最も良好と予測された3分の1の患者群の年間増悪率 (MACRO : -0.50、 率比0.70、 p=0.01、 COLUMBUS : -2.28、 率比0.43) は、 全体の平均 (MACRO : -0.35、 率比0.83、 p=0.01、 COLUMBUS : -1.28、 率比0.58、 p=0.001) と比べて有意かつ大幅な減少を示した (p<0.001)。

一方、 残りの3分の2の患者群では有意な治療効果が認められなかった。

ITEの主な決定因子5つを同定

ITEの主な決定因子として以下などが挙げられた。

  • 呼吸器症状
  • 白血球数
  • ヘモグロビン
  • C反応性タンパク質 (CRP)
  • 努力性肺活量 (FVC)

喫煙状況は有意な予測因子とはならなかった。

結論

治療効果に異質性が認められ、 ITEの予測因子として5つが同定

著者らは 「本研究によりITE を予測するための5つの簡便に得られるパラメータに基づいて、 アジスロマイシン維持療法を受けたCOPD患者における治療効果の異質性を同定し、 これまでの試験で報告された急性増悪予防効果の平均値を押し上げていたサブグループを特定した」 と報告している。

出典

  1. N Engl J Med. 2011 Aug 25;365(8):689-98.
  2. Lancet Respir Med. 2014 May;2(5):361-8.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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