医師のためのLIFESTYLE特集
2年前
子供の将来の夢で人気のあるプロスポーツ選手ですが, 活躍できず早期に引退する人は多いです. 今回はスポーツ選手のセカンドキャリアとして医師になる例を紹介します.
スポーツマーケティング調査 (三菱UFJリサーチ&コンサルティング) によると, 野球やサッカー, フィギュアスケートが上位の人気スポーツに挙げられています. これらのスポーツは学生人気が高く競技人口も多いですが, プロになれるのは一握り. さらにトッププロとなると, 割合はもっと低くなります.
プロ野球12球団の支配下登録上限は70人で, 戦力外通告により毎年数十人がセカンドキャリアを考えています. サッカーのJリーグも格付け上位のプロA選手が25名, 他にもバスケやバレー, ラグビーもプロリーグがあります.
引退後は会社員になったり, 飲食店を経営したりと様々なケースがあります. なかにはスポーツ選手から医師になるケースもあるようです.
現在医学部に通っている例も含めて, スポーツ選手から医師の道を選んだ4人を紹介します.
まずは沖縄県のプロハンドボールチーム「琉球コラソン」でプレーしていた中村彰吾さん. 中村さんは医師になってから, プロ選手になった珍しいケースです. 現在は引退して整形外科医として働いていますが, 現役時は医師とプロ選手の2刀流で活動していました.
2019年ラグビーワールドカップで活躍した福岡堅樹さんは, 順天堂大医学部に通う元ラガーマンです. 現在, 医学部に通いながらラグビー解説やテレビ出演なども行っています. 福岡さんの祖父が内科医, 父が歯科医と医師家系で育ったことや自身の怪我を克服した経験から医師を目指しているようです.
世界レベルの選手ではもう一人, 女子柔道の朝比奈沙羅さんです. 朝比奈さんは2018年の世界選手権で金メダルを獲得し, 柔道女子の世界王者となりました. 現在は獨協大学医学部に通う医学生です. 父が麻酔科医, 母は歯科医と福岡さん同様に医師家系で育った影響から医師を目指しているようです.
プロ野球DeNAの元投手, 寺田光輝さんは戦力外通告を受けてから1年半後に医学部に合格. 現在は東海大学医学部に通い, 医師を目指しています. 寺田さんも医師家系で育ったことからセカンドキャリアとして医師の道へ進んでいます.
中村さんが整形外科医として働いているように, スポーツ選手から整形外科医に転身するケースは考えられそうです. 骨折や捻挫を治療する整形外科医が選手時代の経験を生かし, 日常生活や競技復帰できるよう, 患者を尊重しながら向き合うことができるからです.
スポーツに造詣が深い場合は一般整形外科と区別して, スポーツ整形外科と呼ばれます. スポーツ障害や外傷に対して専門的な知識と経験で治療にあたり, 競技に復帰できるようにサポートします.
厚生労働省によると, 整形外科医は全国に22,520人います. 6割以上が病院, 残りが診療所で働いています. 男女比は9割が男性, 1割が女性と, 男性が多いのも整形外科の特徴の一つです.
海外でも元オリンピック選手や元アメフト選手などから医師に転身するケースがあります. スポーツ選手としての活躍度合いは関係なく, 選手時代に感じた課題や境遇から医師の道に進んでいるようです.
将来, 整形外科に進もうと考えている学生は, 一般整形外科やスポーツ整形外科の違い, 不自由ない日常生活や選手の競技復帰など患者が求めているゴールを理解することが大切になるでしょう.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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