【山本氏解説】ISDE 2024の食道癌における注目セッションは?
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HOKUTO編集部

2ヶ月前

【山本氏解説】ISDE 2024の食道癌における注目セッションは?

【山本氏解説】ISDE 2024の食道癌における注目セッションは?
2024年9月22~24日に英・エジンバラで国際食道疾患学会(ISDE 2024) が開催されました。 本稿では国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科/消化管内科の山本駿先生に、 同会における注目演題と、 発表内容から感じられた印象についてご解説いただきました。
※記事内写真は全て山本駿氏提供

はじめに

▼学会会場入り口のロゴ
【山本氏解説】ISDE 2024の食道癌における注目セッションは?

近年、 食道癌や食道胃接合部癌に関連する治療開発が洋の東西を問わず進められ、 ここ数年の周術期治療に限っても、 JCOG1109試験ESOPEC試験SANO試験、 Neo-AGEIS試験等、 実臨床に直結する報告が続いている。

さらには緩和的薬物治療の進歩も顕著であるが、 対象とされる集団が原発部位や組織型といった点でエビデンスごとに異なっており、 その解釈には専門知識や実臨床における経験を要する。

今回、 食道疾患に特化した国際学会であるISDE 2024が英・エジンバラで開催された。 HOKUTOのユーザーにも、 食道癌に代表される食道疾患に興味を持っていただければと考え、 今回参加しての印象記を寄稿した。

ISDEの概要

学会会場外観(エジンバラ国際会議場)
【山本氏解説】ISDE 2024の食道癌における注目セッションは?

ISDEは食道癌等の悪性疾患のみならず、 逆流性食道炎やバレット食道、 好酸球性食道炎、 食道アカラシア等の良性疾患も含む、 食道疾患に特化した国際学会である。 そのためISDEでは良性疾患のセッションも設定されており、 幅広い食道疾患に関する最新の知見が得られる学会である。

なお今年のISDE 2024はエジンバラで開催されたが、 2年後の2026年は京都で開催が予定されている。

エジンバラ城外観
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食道癌に関する注目セッション

学会内ホール
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今回、 最新知見の共有に加えて、 日本食道学会とのジョイントセッションや、 食道癌の主要なエビデンスの概説等のセッションが設定されていた。

ISDE×日本食道学会共同セッション

ISDEと日本食道学会の共同で行われたセッションの1つが、 食道扁平上皮癌の治療に特化した 「JES-ISDE session Esophageal Squamous Cell Carcinoma Stage I to IV」 である。

同セッションでは、 食道癌に対する内視鏡治療から低侵襲手術の最前線、 周術期治療に関する日本と中国のエビデンス、 cT4bに対する胸部大動脈ステントグラフト内挿術 (Thoracic EndoVascular Aortic Repair ; TEVAR) 、 オリゴ転移に対する治療戦略などが取り上げられ、 各々の領域の代表的な研究者がプレゼンテーションを行っていた。

特に周術期治療や低侵襲手術の領域に関しては、 JCOG1109試験JCOG1409試験など、 日本の研究者が主導し、 質の高いエビデンスを発信して世界をリードしているが、 近年では中国の研究者により、 術前・術後の免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の開発がESCORT-NEO試験等で進められている。 日本でも術後のみならず、 術前療法としてのICI開発が望まれる状況と考えられた。

食道癌の主要試験を担当医自ら解説

主要なエビデンスの概説を行った 「Trials in Gastro-Oesophageal Oncology : Perspectives and lessons from the Principal Investigators」 では、 NeoRes試験やNeo-AEGIS試験、 FLOT4試験ESOPEC試験SANO試験に関して、 研究を代表する担当医自身が解説を行った。

そのため、 論文を読むだけではわからない試験の経過や、 以前の発表では報告されていなかった内容の追加、 研究結果に基づくnext stepなども詳細に解説されており、 非常に有意義な内容であった。

日本における食道切除術の最先端を共有

上記2セッション以外にも、 日本食道学会が担当したセッションで、 手術に特化した 「JES Sessions : Cutting Edge of Esophagectomy in Japan」 等が行われており、 専門性の高い内容が共有されていた。

このようにポスターディスカッションも含めて、 エジンバラでの開催にも関わらず日本の研究者が演者や座長として参加していたことが印象的であった。

最後に

▼JCOG2804E試験のポスター前に立つ山本駿氏
【山本氏解説】ISDE 2024の食道癌における注目セッションは?

個人的な話で恐縮だが、 今回のISDEで初めて、 国際学会のセッションにおいて共同座長のチャンスをいただいた。 臨床や研究の合間にさまざまな準備を重ね、 本番では極度の緊張に襲われながらも完遂できたことは自分にとって今後の糧となった。 ただ、 セッションが盛況に終わったのは、 ご一緒させていただいた共同座長の偉大な先生方のおかげであり、 自分の至らない部分を数多く痛感した。

初期研修を開始した10年前には想像もつかなかった仕事に日々従事しているが、 今後も自身の反省点を修正しつつ、 チャンスがいただけると信じて、 さらに自己研鑽を積んでいきたいと考えている。

解説医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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