【JAMA】広域抗菌薬で膵頭十二指腸切除術後のSSIが低下
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海外ジャーナルクラブ

12ヶ月前

【JAMA】広域抗菌薬で膵頭十二指腸切除術後のSSIが低下

【JAMA】広域抗菌薬で膵頭十二指腸切除術後のSSIが低下
D'Angelicaらは、 開腹による膵頭十二指腸切除術を受ける患者を対象に、 周術期の感染予防を目的とした広域ペニシリン系薬ピペラシリン・タゾバクタムの有効性をcefoxitinを対照に非盲検多施設共同第Ⅲ相ランダム化比較試験で検討。 その結果、 ピペラシリン・タゾバクタムを使用することにより、 術後の手術部位感染症 (SSI)、  膵液瘻、 およびSSIの複数の下流後遺症が減少した。 本研究はJAMAにおいて発表された。

📘原著論文

Piperacillin-Tazobactam Compared With Cefoxitin as Antimicrobial Prophylaxis for Pancreatoduodenectomy: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2023 May 9;329(18):1579-1588. PMID: 37078771

👨‍⚕️監修医師のコメント

SSIのみならず、 術後膵液瘻の発生頻度を減らしているところが大変興味深いです。 術中、 術後の培養結果が分からないのでなんともなのですが、 圧倒的にpositive impactの方が強い研究成果です。


背景

周術期死亡率の改善にもかかわらず、 膵頭十二指腸切除術後の術後手術部位感染 (SSI) の発生率は依然として高い。 SSIを減少させるための広域抗菌薬による外科的予防の効果は十分に理解されていない。

研究デザイン

対象

開腹膵頭十二指腸切除術を受ける成人患者

介入

患者は以下の2群に割り付け

  • 介入群:378例
ピペラシリン・タゾバクタムを投与
  • 対照群:400例
cefoxitinを投与

主要評価項目

30日以内の術後SSIの発症

副次評価項目

30日死亡率、 臨床的に重要な術後膵液瘻および敗血症の発生

研究結果

30日後の術後SSIの割合

30日後の術後SSIの割合は、 介入群の方が対照群よりも有意に低かった。

  • 介入群:19.8%
  • 対照群:32.8%
絶対差 -13.0%、 95%CI -19.1--6.9%、 P<0.001

術後の敗血症、 膵液瘻の発生率

術後の敗血症および臨床的に重要な術後の膵液瘻の発生率は、 介入群で有意に低かった。

術後敗血症

  • 介入群:4.2%
  • 対照群:7.5%
差 -3.3%、 95%CI -6.6-0.0%、 P=0.02

臨床的に重要な術後の膵液瘻

  • 介入群:12.7%
  • 対照群:19.0%
差 -6.3%、 95%CI -11.4--1.2%、 P=0.03

30日後の死亡率

  • 介入群:1.3%
  • 対照群:2.5%
差 -1.2%、 95%CI、 -3.1-0.7%、 P=0.32

結論

開腹膵頭十二指腸切除術を受けた参加者において、 周術期予防薬としてピペラシリン・タゾバクタムを使用することにより、 術後のSSI、 膵液瘻、 およびSSIの複数の後遺症が減少した。 この結果は、 開腹膵頭十二指腸切除術の標準治療としてピペラシリン・タゾバクタムを使用することを支持するものである。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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