ドセタキセル (DTX) 治療歴のあるホルモン療法抵抗性の転移性前立腺癌患者において、 カバジタキセル (CBZ) +プレドニゾロン (PSL) の効果を、 ミトキサントロン (MITX) +PSLを対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験TROPICの結果より、 全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。
原著論文
▼解析結果
Prednisone plus cabazitaxel or mitoxantrone for metastatic castration-resistant prostate cancer progressing after docetaxel treatment: a randomised open-label trial. Lancet. 2010 Oct 2;376(9747):1147-54. PMID: 20888992
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TROPIC試験の概要
対象
DTXの治療歴のあるホルモン療法抵抗性の転移性前立腺癌患者
方法
755例を以下の2群に1:1で割り付けた。
CBZ25mg/m²を21日毎投与+PSL10㎎を1日1回投与
MITX12㎎/m²を21日毎投与+PSL10㎎を1日1回投与
評価項目
主要評価項目
副次評価項目
- 無増悪生存期間 (PFS)
- 腫瘍の奏効率
- PSA奏効率
- 疼痛の改善率
- 腫瘍の病勢進行までの期間
- PSA上昇までの期間
- 疼痛増悪までの期間
- 安全性
TROPIC試験の結果
患者背景
- 両群で同様であった。
- 試験前に受けたDTX投与量の中央値は、CBZ群で576.6mg/m²、MITX群で529.2mg/m²。
- DTX最終投与から病勢進行までの期間中央値 (試験参加前) は、CBZ群で0.8ヵ月、 MITX群で0.7ヵ月。
- 試験治療期間の中央値は、 CBZ群6サイクル、 MITX群4サイクルであり、 CBZ群では試験治療を完了する割合が高かった。
OS中央値
(95%CI 14.1-16.3ヵ月)
(95%CI 11.6-13.7ヵ月)
HR 0.70 (95%CI 0.59-0.83)、 p<0.0001
PFS中央値
(95%CI 2.4-3.0ヵ月)
(95%CI 1.4-1.7ヵ月)
HR 0.74 (95%CI 0.64-0.86)、 p<0.0001
腫瘍の奏効率
(95%CI 9.6-19.3%)
(95%CI 1.6-7.2%)
p=0.0005
PSA奏効率
(95%CI 33.9-44.5%)
(95%CI 13.7-22.0%)
p=0.0002
疼痛の改善率
(95%CI 4.9-13.5%)
(95%CI 3.7-11.8%)
p=0.63
腫瘍の病勢進行までの期間
(95%CI 3.9-12.0ヵ月)
(95%CI 2.3-10.0ヵ月)
HR 0.61 (95%CI 0.49-0.76)、 p<0.0001
PSA上昇までの期間
(95%CI 2.2-10.1ヵ月)
(95%CI 0.9-9.1ヵ月)
HR 0.75 (95%CI 0.63-0.90)、 p=0.001
疼痛増悪までの期間
(95%CI 2.9ヵ月-未到達)
HR 0.91 (95%CI 0.69-1.19)、 p=0.52
有害事象 (AE)
CBZ群で最も頻度の高いGrade3以上の血液検査上のAEは好中球減少 (82%)、 白血球減少 (68%) 、 貧血 (11%) 。 その他の有害事象で最も頻度が高かったのは下痢 (47%) 。
著者らの結論
DTXに基づく治療中または治療後に進行したホルモン療法抵抗性の転移性去勢抵抗性前立腺癌患者において、 CBZ+PSLはMITX+PSLと比較し、 OSを有意に延長させることが示された。