【NEJM】新規抗体薬物複合体MIRVがFRα高発現プラチナ抵抗性卵巣癌のPFS・OS改善
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【NEJM】新規抗体薬物複合体MIRVがFRα高発現プラチナ抵抗性卵巣癌のPFS・OS改善

【NEJM】新規抗体薬物複合体MIRVがFRα高発現プラチナ抵抗性卵巣癌のPFS・OS改善
Mooreらは、 葉酸受容体α (FRα) 高発現でプラチナ製剤抵抗性の高悪性度漿液性卵巣癌患者を対象に、 新規抗体薬物複合体mirvetuximab soravtansine (MIRV) の有効性と安全性を第Ⅲ相無作為化非盲検試験MIRASOLで検討した。 その結果、 MIRVによる治療は化学療法と比較して無増悪生存期間 (PFS)、 全生存期間 (OS) および客観的奏効率 (ORR) で有意な改善を示した。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Mirvetuximab Soravtansine in FRα-Positive, Platinum-Resistant Ovarian Cancer. N Engl J Med. 2023 Dec 7;389(23):2162-2174. PMID: 38055253

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Abstractの結論はAmong participants with platinum-resistant, FRα-positive ovarian cancer, treatment with MIRV showed a significant benefit over chemotherapyrとはっきり書いています。 よくあることなのですが、 本文の結論の語気はかなり弱く、 MIRV appears to be capable of inducing responses and improving survival in patients with platinum-resistant, FRα-positive ovarian cancerとなっています。


背景

MIRVはFRαを標的とするFirst in Classの抗体薬物複合体で、 米国においてプラチナ製剤抵抗性卵巣癌の治療薬として迅速承認されている。

研究デザイン

対象

1~3レジメンの前治療を受けたFRα高発現プラチナ製剤抵抗性高悪性度漿液性卵巣癌患者 : 453例

介入

患者を以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。

  • MIRV群 : 227例
補正後理想体重1kg当たり6mgを3週ごとに静脈内投与
  • 化学療法群 : 226例
担当医がパクリタキセル、 ペグ化リポソームドキソルビシン、 トポテカンより選択

主要評価項目

担当医評価によるPFS

副次評価項目

ORR、 OS、 患者報告アウトカム

研究結果

有効性評価

主要評価項目

PFS中央値

化学療法群に比しMIRV群において有意に延長した。

  • MIRV群 : 5.62ヵ月
95%CI 4.34-5.95ヵ月
  • 化学療法群 : 3.98ヵ月
同2.86-4.47ヵ月
p<0.001

副次評価項目

ORR

化学療法群に比し、 MIRV群において有意に高かった。

  • MIRV群 : 42.3%
95%CI 35.8-49.0%
  • 化学療法群 : 15.9%
同11.4-21.4%
OR 3.81(95%CI 2.44-5.94)、p<0.001

OS中央値

化学療法群に比し、 MIRV群において有意に延長した。

  • MIRV群 : 16.46ヵ月
95%CI 14.46-24.57ヵ月
  • 化学療法群 : 12.75ヵ月
同10.91-14.36ヵ月
死亡のHR 0.67(95%CI 0.50-0.89)、p=0.005

安全性評価

Grade3以上の有害事象の発現

  • MIRV群 : 41.7%
  • 化学療法群 : 54.1%

重篤な有害事象(全Grade)の発現

  • MIRV群 : 23.9%
  • 化学療法群 : 32.9%

治療中止に至った有害事象

  • MIRV群 : 9.2%
  • 化学療法群 : 15.9%

結論

FRα高発現でプラチナ製剤抵抗性の高悪性度漿液性卵巣癌患者において、 MIRVによる治療は化学療法と比較してPFS、 OS、 ORRにおいて有意な改善をもたらした。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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