【Lung Cancer】高齢の進展型小細胞肺がん、カルボプラチン+エトポシドが標準治療として適切:JCOG1201/TORG1528
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Lung Cancer】高齢の進展型小細胞肺がん、カルボプラチン+エトポシドが標準治療として適切:JCOG1201/TORG1528

【Lung Cancer】高齢の進展型小細胞肺がん、カルボプラチン+エトポシドが標準治療として適切:JCOG1201/TORG1528
Shimokawaらは、 進展型小細胞肺癌 (ED-SCLC) の高齢患者を対象に、 カルボプラチン+イリノテカン (CI) とカルボプラチン+エトポシド (CE) の効果を第II/III相ランダム化比較試験JCOG1201/TORG1528で比較。 その結果、 CI療法は有効性を示すものの統計的に有意ではなく、 CEが高齢患者の標準治療として適切であることが示唆された。 本研究はLung Cancer誌において発表された。

📘原著論文

Carboplatin and Irinotecan (CI) vs. Carboplatin and Etoposide (CE) for the Treatment of Extended-Stage Small-Cell Lung Cancer in an Elderly Population: A Phase II/III Randomized Control Trial. Lung Cancer April 21, 2023. DOI:https://doi.org/10.1016/j.lungcan.2023.107195

👨‍⚕️監修医師のコメント

本研究の最大のlimitationが、 当初のサンプルサイズ片群N=185からN=128に縮少されている点です。 これはなかなか対象患者が集まらなかったことが大きな原因の1つで、 結果としてp=0.11ということもあり、 サンプルサイズダウンが悔やまれます。 同じ日本人の研究者の発表であることから、 大変な苦労の上での研究成果であることが、 痛い程伝わって来ます。

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背景

日本では若年層 (70歳未満) のED-SCLC患者に対してシスプラチン+イリノテカンが標準治療とされているが、 高齢患者に対するイリノテカンの使用に関する高いレベルのエビデンスが不足している。

研究デザイン

対象

高齢のED-SCLC患者。

介入

患者を以下の群に1:1の割合でランダムに割り付け。

  • CI群:129例
カルボプラチン (AUC 4mg/mL/min、 1日目) とイリノテカン (50mg/m²、 1日目と8日目) を3週間ごとに4サイクル点滴静注
  • CE群:129例
カルボプラチン (AUC 5mg/mL/min、 1日目) とエトポシド (80mg/m²、 1~3日目) を3週間ごとに静脈内投与

主要評価項目

全生存期間 (OS)

研究結果

OS 中央値

  • CE群:12.0カ月
  • CI群:13.2カ月
HR 0.85, p=0.11

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

  • CE群:4.4カ月
  • CI群:4.9カ月
HR 0.85

客観的奏効率

  • CE群:59.5%
  • CI群:63.2%

安全性評価

CE群では骨髄抑制の発生率が高く、 CI群では消化器毒性の発生率が高い。

治療関連死

治療関連死は3例であった。

  • CE群:肺感染症が1例
  • CI群:肺感染症と敗血症が各1例

結論

CI療法は有効性を示したが統計的に有意ではなく、 CEが高齢のED-SCLC患者の標準化学療法として適切であることが示唆された。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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