【海外論文】AIを用いた大腸内視鏡検査でその後の検査増加、 医療費増加の懸念
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【海外論文】AIを用いた大腸内視鏡検査でその後の検査増加、 医療費増加の懸念

【海外論文】AIを用いた大腸内視鏡検査でその後の検査増加、 医療費増加の懸念
Moriらは, AIを用いた大腸内視鏡によるポリープ切除術が, その後のサーベイランスに対する患者負担にどのように影響するかを検討する目的で, 無作為化対照試験の統合解析を実施. その結果, 大腸内視鏡検査における AI の使用は, 集中的な検査を必要とする患者の割合を米国で約 35%, 欧州で 20%増加させ, 癌予防に寄与する可能性があるが, 患者負担と医療費を増加させる可能性があることが明らかとなった. 本研究は, Clin Gastroenterol Hepatol誌において発表された. 

📘原著論文

Impact of Artificial Intelligence on Colonoscopy Surveillance After Polyp Removal: A Pooled Analysis of Randomized Trials. Clin Gastroenterol Hepatol. 2022 Aug 28;S1542-3565(22)00818-7. PMID: 36038128

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本研究成果の意義は, 従来の医師の判断だけによる臨床現場に対しての指針(ガイドライン)にAIを単純に組み合わせると, どの疾病においてもおそらく予防効果は高まるが, 患者負担+医療費負担が高くなることを意味しているのだと思います. これからAIサポートありきに根本的に価値基準を変更して様々な改良が行われることを期待しています.


背景

ポリープ検出の改善を目的としたAIツールは, 大腸内視鏡検査時の腺腫検出率を向上させることが示されている. しかし, AIによるポリープ検出率の向上が, ポリープ切除後の患者サーベイランスにどのように影響するかは不明である.

研究デザイン

  • 大腸内視鏡検査にAI検出補助具を併用した場合と併用しない場合を比較した9件の無作為化対照試験(中国5件, イタリア2件, 日本1件, 米国1件)の統合解析を行った.
  • 主要評価項目:集中的大腸内視鏡検査を受けるよう推奨された患者の割合.

研究結果

  • 対象:合計5,796人の患者(51%男性, 平均53歳)
  • AI補助下大腸内視鏡検査を受けた患者:2,894名
  • 非AI補助下大腸内視鏡検査を受けた患者:2,902名
  • 米国のガイドラインに従った場合の集中的検査を推奨される患者の割合は, 非AI群8.4%(95% CI 7.4%-9.5%)からAI群11.3%(95%CI 10.2%-12.6%)に増加した.
絶対差 2.9%, 95%CI 1.4%-4.4%, リスク比 1.35, 95%CI 1.16-1.57
  • 欧州のガイドラインに従った場合の集中的検査を推奨される患者の割合は, 非AI群6.1%(95%CI 5.3%-7.0%)からAI群7.4%(95%CI 6.5%-8.4%)に増加した.
絶対差 1.3%, 95%CI 0.01%-2.6%, リスク比 1.22, 95%CI 1.01-1.47

結論

大腸内視鏡検査における AI の使用は, 集中的な大腸内視鏡検査を必要とする患者の割合を米国で約35%, 欧州で約20%増加させた(それぞれ2.9%, 1.3%の絶対増加).これはがん予防の向上に寄与する可能性がある一方で, 患者の負担と医療費を著しく増加させるものである.

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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