海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前

Lucianoらは、 特発性正常圧水頭症に対するシャント手術の有効性を、 3ヵ月後の歩行速度、 および歩行・バランス、 認知機能、 排尿障害に関する各種指標の変化をプラセボと比較した。 その結果、 シャント手術はプラセボに対し、 歩行速度を0.21m/秒、 有意に改善した。 また、 歩行・バランス指標も改善したが、 認知機能および排尿障害に関する指標は改善しなかった。 試験結果はNEJM誌に発表された。
NEJMの論調に特徴的な、 微妙な結果を提示した上で臨床応用への含意を読者に委ねる記載となっています。
特発性正常圧水頭症は、 高齢者において歩行障害、 バランス障害、 認知機能障害および排尿障害を特徴とする神経疾患である。 本疾患はシャント手術により治療されるが、 その有効性は明確ではない。
本研究は、 二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験であり、 脳脊髄液排出による歩行速度改善を基準にシャント手術候補とされた患者を対象とした。 患者は、 非侵襲的に調整可能なシャントのうち、 開放圧110mm水柱の開放シャント群、 または400mm水柱超のプラセボ群に割り付けられた。 主要評価項目は、 術後3ヵ月時点での歩行速度の変化とした。 副次評価項目は、 Tinettiスケール、 Montreal Cognitive Assessment (MoCA)、 過活動膀胱質問票の変化とした。
Tinetti : 0~28点、 低得点で歩行・バランス悪化
MoCA : 0~30点、 低得点で認知機能低下
過活動膀胱質問票 : 0~100点、 高得点で失禁悪化
3ヵ月後、 開放シャント群 (49例) ではプラセボ群 (49例) に比して、 平均歩行速度が有意に改善した。
平均歩行速度の変化
群間差 : 0.21m/秒 (95%CI 0.12~0.31、p<0.001)
また、 Tinettiスケールでは開放シャント群で有意な改善 (2.9点増、 p=0.003) を認めたが、 MoCAスコア (1.3点 vs 0.3点)、 過活動膀胱スコア (-3.3点 vs -1.5点) に有意差は認められなかった。
有害事象については、 プラセボ群では転倒が多く、 開放シャント群では硬膜下出血と体位性頭痛が多かった。 脳出血発現は同等 (各群2%) であった。
有害事象発現率 (開放シャント群vsプラセボ群)
著者らは、 「一時的な脳脊髄液排出に反応を示した特発性正常圧水頭症患者において、 シャント手術は術後3ヵ月時点で歩行速度および歩行・バランス指標に有意な改善をもたらしたが、 認知機能や排尿機能に関する指標には改善を示さなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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