HOKUTO編集部
6日前

抗CD38抗体およびレナリドミドの曝露/不応を含む再発難治性多発性骨髄腫 (RRMM) 患者を対象に、 抗BCMA/CD3二重特異性抗体テクリスタマブ単剤と担当医選択の標準治療 (PVd/Kd) を比較した第Ⅲ相無作為化試験MajesTEC-9の結果が報告された。 テクリスタマブ単剤は無増悪生存期間 (PFS) ・全生存期間 (OS) をともに有意に改善し、 PFSの病勢進行・死亡リスクを71%低減した (HR 0.29)。 イタリア・トリノ大学のRoberto Mina氏が発表した。 同試験の詳細は、 N Engl J Med.誌2026年5月29日オンライン版¹⁾に掲載された。
新規診断の多発性骨髄腫では3剤・4剤併用療法が転帰を大きく改善した一方、 抗CD38抗体およびレナリドミド (Len) に曝露/不応のRRMMには、 より有効で広くアクセス可能な治療への高いアンメットニーズが残る。 テクリスタマブは前治療歴が多いRRMMで最も広く使用されている抗BCMA/CD3二重特異性抗体 (BsAb) で、 より早期のライン (LOT) でも良好な成績が示されている。 MajesTEC-9 (NCT05572515) は、 1~3ラインの前治療歴を持つ患者を対象としたテクリスタマブ単剤の初の第Ⅲ相試験である。
抗CD38抗体およびLenを含む1~3ラインの前治療歴を有するRRMM患者593例を、 テクリスタマブ単剤群296例と治療医選択のPVd/Kd群297例に1:1で無作為に割り付けた。 テクリスタマブは28日サイクルで投与し、 ステップアップ後に1.5mg/kgを週1回投与、 その後は奏効に応じて投与間隔を延長した。 主要評価項目は独立評価委員会 (IRC) 評価によるPFSで、 副次評価項目はOS、 CR以上の奏効、 安全性などだった。
年齢中央値は70歳、 前治療ライン数の中央値は2だった。 Len不応80%、 抗CD38抗体不応85%、 直近治療に不応92%と難治性の高い集団で、 約75%がIMiDと抗CD38抗体の双方にdouble refractoryだった。 追跡期間中央値は17.3ヵ月だった。
テクリスタマブ群はPVd/Kd群に対しPFSを有意に改善し、 病勢進行・死亡リスクを71%低減した (HR 0.29、 95%CI 0.23~0.38、 p<0.0001)。 PFS中央値はテクリスタマブ群で未到達、 PVd/Kd群で8.2ヵ月であり、 推定18ヵ月PFS率はそれぞれ69.8%、 26.9%だった。 このPFSベネフィットは、 抗CD38抗体不応例、 Len不応例、 高リスク染色体異常例を含む全サブグループで一貫していた。
OSもテクリスタマブ群で有意に改善した (HR 0.60、 95%CI 0.43~0.83、 p=0.0020)。 推定18ヵ月OS率は79.2% vs 68.6%だった。 PVd/Kd群では後続治療を受けた174例のうち68.4%がBsAbまたはCAR-T療法を受けていたが、 その状況下でもOSベネフィットが示された。
≥CR率はテクリスタマブ群65.9%、 PVd/Kd群16.8%と有意に高く (OR 10.42、 95%CI 6.89~15.76、 p<0.0001)、 ORRも84.5% vs 54.2%と上回った。 ITT集団のMRD陰性 (10⁻⁵) ≥CR率も38.5% vs 6.7%で、 テクリスタマブ群ではより深く持続的な奏効が示された。 DOR中央値は未到達 vs 13.4ヵ月だった。
データカットオフ時点の治療継続率は、 テクリスタマブ群65.3%、 PVd/Kd群24.0%だった。 治療期間中央値は13.1ヵ月 vs 7.0ヵ月とテクリスタマブ群で長かった。 TEAE発現率は両群で同程度だった (99.7% vs 97.9%)一方で、 Grade3/4 TEAE (84.9% vs 76.3%) とGrade5 TEAE (6.5% vs 3.5%) はテクリスタマブ群で高かった。 一方、 TEAEによる治療中止は10.7% vs 13.1%とテクリスタマブ群で低かった。
サイトカイン放出症候群 (CRS) はテクリスタマブ群の66.0%に発現したが大半がGrade1/2 (48.8%/16.5%) で、 Grade3は0.7%、 Grade4/5はなく、 全例が投与中止に至らず回復した。 ICANSは4.1% (Grade1/2:2.4%/1.4%) と低頻度だった。 Grade3/4感染症はテクリスタマブ群41.6%、 PVd/Kd群29.0%とテクリスタマブ群で高く、 低ガンマグロブリン血症 (69.1% vs 50.2%) も多くみられたが、 Grade3/4感染症の発現は6ヵ月以降に経時的に減少した。
Mina氏は、 ステロイドフリーで月1回投与可能なテクリスタマブ単剤が、 高度に曝露/不応のRRMM集団でPFS・OSをともに有意に改善し、 ORR・≥CR・MRD陰性≥CR率も上回ったと総括した。 CRSおよびICANSの多くはGrade1で確立されたプロトコルで管理可能であり、 感染症は6ヵ月以降に減少した一方、 感染予防・モニタリング・免疫グロブリン補充療法 (IgRT) による患者サポートが重要とした。 MajesTEC-9の成績は、 先行するMajesTEC-3とあわせ、 前治療の抗CD38/Len曝露を問わず2次治療以降の新たな標準治療としてテクリスタマブベースの治療を支持するものと結論付けた。
1) N Engl J Med. 2026年5月29日オンライン版
【NEJM】難治性髄外骨髄腫に二重特異性抗体2剤の併用が有望
【MajesTEC-3】再発・難治性多発性骨髄腫、 テクリスタマブ+ダラツムマブがPFSを改善
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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