海外ジャーナルクラブ
1年前
Galeらは、 非ST上昇型急性冠症候群 (NSTE-ACS) の疑いで受診した18歳以上の患者を対象に、 Global Registry of Acute Coronary Events (GRACE) リスクスコアによるリスク層別化の有効性を並行群間クラスター無作為化比較試験で検討。 その結果、 GRACEリスクスコアは心血管イベントの減少に寄与せず、 診療ガイドラインで推奨される治療のアドヒアランスを改善しなかった。 本研究はBMJ誌において発表された。
リスクスコアをもとに治療を行い、 その治療成績が改善しなかったことはリスクスコアリング重視の現代医療に1つの問いかけをしていると思います。
2017年3月9日~19年12月30日に、 イングランドの42の病院にNSTE-ACSの疑いで来院した患者
以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け
ガイドラインで推奨される管理の実施と、 心血管死、 非致死的心筋梗塞、 新規心不全入院、 心血管系イベントによる再入院の複合が起こるまでの期間
入院期間、 EQ-5D-5L*など
ガイドラインで推奨されたプロセスの実施率
OR 1.16、 95%CI 0.70-1.92、 P=0.56
複合心イベントの初回発現までの時間
GRACEリスクスコアによって、 複合心イベントの初回発現までの時間に有意な改善はみられなかった (HR 0.89、 95%CI 0.68-1.16、 P=0.37)
12カ月後のEQ-5D-5L (差:-0.01、 95%CI -0.06-0.04) および12カ月以内の入院期間 (平均11.2日 vs 11.8日) は両群でほぼ同等であった。
NSTE-ACSが疑われ来院した成人において、 GRACEリスクスコアはガイドラインで推奨される治療のアドヒアランスを改善せず、12カ月後の心血管イベントも減少させなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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