【BMJ】GRACEスコアによるリスク層別化、 心血管イベントの改善に寄与せず
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海外ジャーナルクラブ

9ヶ月前

【BMJ】GRACEスコアによるリスク層別化、 心血管イベントの改善に寄与せず

【BMJ】GRACEスコアによるリスク層別化、 心血管イベントの改善に寄与せず
Galeらは、 非ST上昇型急性冠症候群 (NSTE-ACS) の疑いで受診した18歳以上の患者を対象に、 Global Registry of Acute Coronary Events  (GRACE) リスクスコアによるリスク層別化の有効性を並行群間クラスター無作為化比較試験で検討。 その結果、 GRACEリスクスコアは心血管イベントの減少に寄与せず、 診療ガイドラインで推奨される治療のアドヒアランスを改善しなかった。 本研究はBMJ誌において発表された。

📘原著論文

Effectiveness of GRACE risk score in patients admitted to hospital with non-ST elevation acute coronary syndrome (UKGRIS): parallel group cluster randomised controlled trial. BMJ. 2023 Jun 14;381:e073843. PMID: 37315959

👨‍⚕️監修医師のコメント

リスクスコアをもとに治療を行い、 その治療成績が改善しなかったことはリスクスコアリング重視の現代医療に1つの問いかけをしていると思います。

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GRACEリスクスコア (院内死亡)

ACS患者の院内死亡リスク

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ACS患者の退院後6ヶ月の全死亡リスク

TIMIリスクスコア

NSTE-ACS患者の死亡率予測

ESC 0-1時間アルゴリズム

急性冠症候群の除外アルゴリズム (NSTE-ACS)

研究デザイン

対象

2017年3月9日~19年12月30日に、 イングランドの42の病院にNSTE-ACSの疑いで来院した患者

介入

以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け

  • GRACEリスクスコア 群:1,440例
GRACEリスクスコアとガイドラインに従った患者管理
  • 標準治療群:1,610例
標準治療による患者管理

主要評価項目

ガイドラインで推奨される管理の実施と、 心血管死、 非致死的心筋梗塞、 新規心不全入院、 心血管系イベントによる再入院の複合が起こるまでの期間

副次評価項目

入院期間、 EQ-5D-5L*など

*HOKUTO編集部補足
EQ-5D-5L(EuroQol 5-dimensions 5-levels) とは、 患者報告によるQOLの評価指標のひとつで、 5つのドメイン (移動、 身の回り、 普段の生活、 痛み/不快感および不安/ふさぎ込み)に基づき評価される。 最小0点はQOLが最も悪く、 最大1点はQOLが最も良い状態 (完全な健康状態)とする。

研究結果

主要評価項目

ガイドラインで推奨されたプロセスの実施率

  • GRACEリスクスコア群:77.3%
  • 標準治療:75.3%

OR 1.16、 95%CI 0.70-1.92、 P=0.56

複合心イベントの初回発現までの時間

GRACEリスクスコアによって、 複合心イベントの初回発現までの時間に有意な改善はみられなかった (HR 0.89、 95%CI 0.68-1.16、 P=0.37)

副次評価項目

12カ月後のEQ-5D-5L (差:-0.01、 95%CI -0.06-0.04) および12カ月以内の入院期間 (平均11.2日 vs 11.8日) は両群でほぼ同等であった。

結論

NSTE-ACSが疑われ来院した成人において、 GRACEリスクスコアはガイドラインで推奨される治療のアドヒアランスを改善せず、12カ月後の心血管イベントも減少させなかった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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