インタビュー
17日前

国立国際医療研究センター病院と国立感染症研究所が統合し、 「国立健康危機管理研究機構 (JIHS) 」 が発足して1年余りが経過した。 その臨床部門である国立国際医療センターの院長・宮嵜英世氏に、 統合による変化などを聞いた。
病床数706、 標榜診療科43科の特定機能病院。 2025年4月、 統合前の国立国際医療研究センター病院が現名称に改称。 救命救急センター (年間救急車受け入れ1万台超)、 がん総合診療センター、 エイズ治療・研究開発センターなどを擁し、 全国から患者が訪れる。
──疫学・検査機能を持つ国立感染症研究所との統合によって、 臨床側に具体的にどんな変化がありましたか。
「疫学情報へのアクセスが格段に速くなりました。 未知の感染症が発生した場合、 流行の初期段階でFF100 (First Few Hundred Studies、 最初の数百症例調査) をいち早く実施して対策を出せる体制が整いました。 以前は研究所と病院がそれぞれ動いていましたが、 今は臨床からのフィードバックをリアルタイムで疫学側に返せます」

「コロナワクチンの開発では、 日本は海外に遅れを取りました。 その教訓を活かし、 今年度中にFIH (First in Human) 試験の実施を目指しています。 専用病棟の建設、 治験推進センター内への先端医療課の設置、 看護師の研修を進めている最中です。 次も同じ轍を踏まないよう、 基礎研究から臨床試験・薬事承認までを一気通貫でやれる体制をめざしています」
──感染症臨床研究ネットワーク 「iCROWN」 の現状は。
「現在39病院が参加しています。 平時から検体や臨床情報を集めて研究者に提供し、 有事には治療薬の臨床試験をすぐ動かせる仕組みです。 ただ、 まだ参加していない都道府県もあるので、 引き続き拡大が必要です」

──エイズ治療で新薬が承認されました。
「2026年3月に、 JIHSの国立国際医療研究所・満屋裕明所長が開発したイスラトラビルが承認されました。 新規作用機序を有し、 エイズ治療のゲームチェンジャーとなることが期待されています」
──外国籍患者への対応で、 2025年12月から医療通訳料の請求を始めた背景は。
「当院は新宿区にあり、 全患者の7%が外国籍という状況で、 通訳ニーズが年々増えています。 英語だけでなく、 中国語・ベトナム語・ミャンマー語・ネパール語などにも対応しており、 体制を維持するために請求を開始しました」

──今後の展望についてお聞かせください。
「地域がん診療連携拠点病院として、 がん診療にも一層力を入れていきたいと考えています。 ロボット手術 (ダビンチSi 2台) とハイブリッド手術室を整備しているほか、 がんゲノム医療や、 合併症の多い高齢患者への対応も進めています。 高度急性期医療と研究機能を両立させながら、 全国の患者さんの健康を支える存在として頼りにしてもらえるよう質の高い医療の実現に向けて取り組んでいきます」


編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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