海外ジャーナルクラブ
23日前
Athertonらは、 緊急開腹手術を受けた成人患者を対象に、 切開創に対する局所陰圧閉鎖療法 (iNPWT) および外科医が選択したドレッシング材による手術部位感染 (SSI) 発生率を第Ⅲ相無作為化比較試験SUNRRISEで検討した。 その結果、 術後30日までのSSI発生率において両群間で有意差は認められなかった。 本研究はJAMA誌にて発表された。
アウトカムのSSI発生を 「Yes / No」 で評価しており、 severityやtypeがわからない点はlimitationです。
緊急開腹手術を受ける患者は、 SSIリスクが高い。 iNPWTがこのような状況でSSI発生率の低減に寄与するか否かは不明である。
そこで本研究では、 1次閉鎖を伴う緊急開腹手術を受けた成人患者を対象に、 SSI予防におけるiNPWTの有効性を評価した。
2018年12月18日~21年5月25日に、 英国の22の病院およびオーストラリアの12の病院で緊急開腹手術を受けた成人患者840例が、 以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
無作為化およびドレッシング材の適用は手術終了時に手術室で行われ、 その後、 各群394例が一次解析に組み入れられた。
主要評価項目は術後30日までのSSI発生率*、 副次評価項目は入院期間、 術後30日までの合併症、 30日以内の創傷関連合併症による再入院、 創傷の痛み、 およびQOLを含む7項目であった。
追跡期間は術後30日間であった。 主要評価項目である術後30日までのSSI発生率は以下の通りであり、 両群間で有意差は認められなかった。
相対リスク (RR) 1.03 (95%CI 0.83-1.28)、 p=0.78
この結果は、 汚染の程度、 ストーマの有無、 参加者のBMI、 使用した皮膚の準備など、 事前に計画されたサブグループ解析および感度解析すべてにおいて一貫していた。
副次評価項目である7項目のうち6項目において、 両群間で有意差は示されなかった。 この6項目には再入院、 QOL、 入院期間*が含まれていた。
著者らは 「緊急開腹手術後の閉鎖創にiNPWTを適用しても、標準的なドレッシング材と比べてSSIの発生率を低下させる効果は認められなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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