メイヨークリニック感染症科 松尾貴公
3日前
メイヨークリニック感染症科 松尾貴公先生による連載です。 今回は 「リーダーシップの6つのタイプ」 を解説します。
Take home message
リーダーシップと聞いて、 皆さんはどのような人物や状況を思い浮かべるでしょうか?病院長やカリスマ的な指導医など、 組織のトップにいる人を想像するかもしれません。
しかし、 リーダーシップは役職に限らず、 誰もが発揮できる力です。 リーダーシップの定義は 「目標を達成するためにチームを動かす力」 であり、 医療現場では 「シェアド・リーダーシップ」 として注目されています。
つまり、 リーダーシップは特定のカリスマ的な人物に依存するものではなく、 その行動が周囲に良い影響を与え、 チーム全員が自らの能力や専門性、 個性を活かしながら相互に作用することで、 チーム全体の活性化と成果の向上につながるものです。
したがって、 リーダーシップは特定の役割やポジションに関係なく、 チームの一員として誰もが身につけるべき能力だといえます。
近年、 新入社員や若手の段階でリーダーシップ能力を身に付けるための試みが、 多くの企業や職場でなされています。 医療現場においても、 指導医から言われたことのみを実行するだけではなく、 チームのために自ら考え、 自ら決断し、 自ら責任を広げることが、 患者さんへの医療の質を向上させたり、 チームの生産性を高めたりします。
リーダーシップは、 一朝一夕で身につくものではなく、 日々の経験の積み重ねで形成されます。 早い段階でその重要性を理解し、 意識して行動することが将来の成長につながります。
米国の心理学者ダニエル・ゴールマンは、 リーダーシップを以下の6つに分類しました。 それぞれの特性を理解することで、 自分に合ったスタイルを発揮できます。
①ビジョン型
チームを共通の目標や夢に向かわせる。
②コーチ型
個々の目標を組織の目標に結びつける。
③関係重視型
チーム内の調和を重視し、 良好な関係を築く。
④民主型
メンバーの意見を取り入れ、 参加を通じて信頼を得る。
⑤ペースセッター型
高い目標を設定し、 チームにやる気を促す。
⑥強制型
緊急時に迅速かつ的確な指示を出す。
優れたリーダーになるためには、 以下の能力を意識的に磨くことが大切です。
若手医師がリーダーシップを身につけるには、 いくつかの重要なスキルが求められます。 決断力と行動力は臨床の場で迅速に対応するために不可欠であり、 コミュニケーション力は患者やチームと信頼関係を築くために重要です。
変化に対応する柔軟性や、 信頼の基盤となる誠実さも必要です。 広い視野を持ち、 責任を持って行動し、 情報を発信する力もリーダーとしての成長に欠かせません。
また、 協調性と謙虚さを忘れず、 精神的な安定を保つことで、 困難な状況でも冷静に判断し、 チームを導くことができます。 これらのスキルを意識することで、 信頼されるリーダーへと近づくことができます。
リーダーシップを身につけるには、 まず周囲のさまざまなリーダーシップのスタイルを観察してみることをおすすめします。 また、 リーダーシップに関して体系的に学べるリソースが増えているので、 積極的に活用してみることも皆さんのリーダーシップの土台を作ってくれるはずです。 若いうちから積極的にリーダーシップを発揮する場面を増やすことで、 成功体験が自信につながります。
連載バックナンバー
第11回 : クレーム対応のコツ① 知っておきたい2つのギャップ
第12回 : クレーム対応のコツ② 円滑に進めるための4つのポイント
第13回 : クレーム対応のコツ③ 実践で活用できる4つのフレーズ
レジデントのためのビジネススキル・マナー
医師として成功の一歩を踏み出す仕事術55
本書では自分が失敗から学んできた社会人としての院内・院外で必要なマナーや、 医師としての心得、 自己成長を成し遂げていくために必要な仕事術を解説していきます。 特に若手医師の皆さんにこれらを少しでも早い段階で共有することにより、 医師としてのキャリアを成功させるためのお手伝いが少しでもできれば幸いです。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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