HOKUTO編集部
6日前

欧州リウマチ学会 (EULAR 2026) が、 2026年6月3日(水)から英・ロンドンで開催される。 リウマチ・膠原病領域では、 SjDに対するアニフロルマブ (ANISE-II) やianalumab (NEPTUNUS-1/2)、 乾癬性関節炎におけるビメキズマブとリサンキズマブの直接比較 (BE BOLD)、 SLEに対する抗FcRn抗体ニポカリマブ (JASMINE-SLE) などが発表予定である。 本稿では、 その中でも注目の8演題を紹介する。
AnaptysBio社のPD-1作動薬rosnilimabを、 中等症~重症のRA患者に投与した第Ⅱb相試験。 rosnilimabはPD-1を活性化し、 病的T細胞を選択的に枯渇させる作用機序を持つ。 TNF阻害薬、 JAK阻害薬、 IL-6阻害薬とは異なる新規モダリティとして注目される。 既報のプレスリリースでは、 Week 12のDAS28-CRPで主要評価項目を達成し、 Week 14のCDAI LDAでも高い達成率が示唆されている。 EULAR 2026では、 詳細な有効性・安全性データに加え、 作用機序の検証に関するトランスレーショナルデータ (標的T細胞サブセットの動態) が報告される予定である。 評価指標はDAS28-CRP、 CDAI LDA、 ACR応答および安全性プロファイルで、 TNF阻害薬やJAK阻害薬の既治療例における効果も焦点となる。
UCB社による乾癬性関節炎(PsA)患者を対象に、ビメキズマブ (IL-17A/F dual inhibitor) とリサンキズマブ (IL-23p19) を直接比較した第Ⅲb相試験 (16週)。生物学的製剤の選択肢が拡大するPsA領域において、IL-17経路とIL-23経路を直接比較する初の大規模試験となる。主要評価項目はACR50達成率と報告されており、副次評価としてPASI 90/100、MDA達成率、MASES (付着部炎)、指趾炎、皮膚アウトカム、および真菌感染・口腔カンジダ等のビメキズマブ特異的有害事象が評価される見込み。PsAに加えて軸性脊椎関節炎(axSpA)・化膿性汗腺炎(HS)を含むIL-17 dual blockadeの位置付けにも示唆を与え得る。
SLEで承認済みのI型IFN受容体抗体アニフロルマブを原発性シェーグレン病に投与した無作為化二重盲検プラセボ対照の第Ⅱa相 proof-of-mechanism試験。シェーグレン病に対してインターフェロン経路を直接遮断するアプローチの妥当性を検討する。評価指標はESSDAI/ClinESSDAI/ESSPRI等の疾患活動性指標に加え、IFN-stimulated gene signature・自己抗体価・唾液腺機能などのproof-of-mechanism関連エンドポイント。同セッションで発表予定であるianalumab / telitacicept / エフガルチギモド アルファ / ニポカリマブなど他の生物学的製剤との作用機序・対象患者像の差別化も論点となる。
Novartis社の抗BAFF-R抗体ianalumabを原発性シェーグレン病に投与したグローバル第Ⅲ相試験 (NEPTUNUS-1/NEPTUNUS-2) と延長試験の統合報告。シェーグレン病領域で陽性結果が報告された第Ⅲ相試験のひとつとして位置付けられ、アニフロルマブ/telitaciceptなど同セッションの他演題と並んで生物学的製剤による疾患修飾の可能性が議論される。主要評価指標はESSDAI・ESSPRIで、副次評価として唾液腺超音波スコア・腺外症状の改善・血清学的変化 (IgG・自己抗体)、延長試験における効果維持と長期安全性が報告される予定。
J&J社の抗FcRn (neonatal Fc receptor) 抗体ニポカリマブをSLE患者に投与した、 first-in-classの第Ⅱ相試験。 FcRn遮断はIgGの再取り込みを阻害し、 循環IgGを選択的に減少させる作用機序を持つ。 ニポカリマブは、 自己抗体が病態に関与する重症筋無力症に対して国内承認されているが、 SLEに対しては国内未承認である。 SLE治療ではB細胞標的療法 (ベリムマブ、 リツキシマブ、 アニフロルマブ、 CAR-T等) が主流となる中、 病原性IgGを含むIgGを低下させるアプローチの有効性と安全性が検討される。 評価指標はSRI-4、 BICLA、 抗dsDNA抗体、 補体C3/C4、 IgGサブクラス動態、 および感染症や低アルブミン血症などのFcRn阻害に関連する有害事象である。
2025年4月にFDAが巨細胞性動脈炎 (GCA) 初の経口JAK阻害薬として承認したウパダシチニブの再ランダム化二重盲検期2年長期データ。EULAR 2026では、新規発症GCAと再燃GCAでの治療応答を比較するサブ解析が報告される。従来GCAの薬物選択はトシリズマブ (IL-6Rα) を中心としてきたが、経口JAK阻害薬の長期維持効果が論点となる。評価指標は持続的寛解率・ステロイドsparing効果・再燃率および帯状疱疹/血栓イベント等の安全性プロファイルで、セクキヌマブ PMR REPLENISH等の並列演題と合わせて大血管炎 (LVV) 治療パラダイムが議論される見込み。
Eli Lilly社による新規発症リウマチ性多発筋痛症 (PMR) に対するバリシチニブ (JAK1/2阻害薬) の第Ⅲ相試験。先行するBACHELOR第Ⅱ相試験 (Lancet Rheumatol 2025年1月) で経口JAKによるステロイドなしでの寛解導入の概念実証が行われており、本試験はそのフォローアップに位置付けられる。PMR治療は長らくグルココルチコイドを中心とし、長期投与に伴う感染・骨粗鬆症・糖尿病等の合併症が課題となってきた。本試験はステロイドsparingを主要評価項目に設定する第Ⅲ相試験で、寛解導入率・累積ステロイド用量・再燃率および帯状疱疹/血栓イベント等のJAK阻害薬の安全性シグナルが評価される。
寛解期痛風における尿酸降下療法 (ULT) の継続と段階的中止戦略を比較したプラグマティック・オープンラベル・無作為化優越性試験。Treat-to-target戦略下でのULT継続群と中止試行群を比較する設計で、主要評価項目は痛風再燃率。副次評価として血清尿酸値・QOL・服薬負担を含む。EULAR 2026のPlenary枠で発表予定で、欧米ガイドラインで原則生涯継続とされてきたULT継続戦略の見直しに関するエビデンスとなる。中止可能例の予測因子 (罹病期間/結節有無/血清尿酸コントロール期間) も評価対象となる。
PlenarySessionでは、 寛解期痛風における尿酸降下療法 (ULT) の中止戦略を検討したGO TEST Finaleと、 シェーグレン病に対するアニフロルマブの第Ⅱa相試験 (ANISE-II) が発表される。
Oral/Late-Breakingでは、 rosnilimab (PD-1作動薬)、 ニポカリマブ (抗FcRn抗体)、 ianalumab (抗BAFF-R抗体) などの新規作用機序薬に加え、 BE BOLD (ビメキズマブ vs リサンキズマブ) のような直接比較試験、 GCA・PMRにおけるJAK阻害薬の臨床試験も予定されている。
HOKUTOでは各演題レポートを順次公開予定。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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