海外ジャーナルクラブ
2年前
Shafiらは, 米国の4つのコホート研究 (参加者:3,223名) を基に, 推算糸球体濾過量 (eGFR) と実測糸球体濾過量 (mGFR) の差を検討する横断的研究を実施した. その結果, mGFRとeGFRの間には個人レベルで大きな差が存在する可能性が明らかとなった. 本研究はAnn Intern Med誌において発表された.
👨⚕️ HOKUTO監修医コメント
大変興味深い研究成果ですね. 「日常診療でよく参考にするeGFRとmGFRに差があるよ」 というimpactの強い結論でした. ただし、救急外来で最も注意深く見るeGFRが15~29の患者さんでは, 5%がmGFR15以下であったことは "eGFRは信頼性がそこそこ高い" と逆に言えると思いました.
eGFRとmGFRの集団レベルの差は知られているが, 個人レベルの差やその臨床的意義は不明である.
米国の4つの疫学的コホート研究 (参加者:3,223名) が対象.
尿中のイオタラム酸および血漿中のイオヘキソールのクリアランスを用いて測定.
血清クレアチニン濃度のみ (eGFRcr) と, シスタチンCを加えたもの (eGFRcys)を算出.
mGFRとeGFRcrの集団レベルの差は小さく, 差 (mGFR-eGFR) の中央値は-0.6 (95%CI -1.2~-0.2) だったが, 個人レベルの差は大きくなった.
mGFRとeGFRcrによるCKDの病期分類には大きな差がみられた.
シスタチンCを用いたeGFRcysにおいても, この差に大きな改善はなかった.
mGFRとeGFRの間には個人レベルでの不一致が存在する. eGFRを報告する検査室は, eGFRがmGFRに代わるものと誤解されるのを避けるため, この不確実性の程度を含める報告する必要がある.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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