亀田総合病院
1年前
今回は「器質化肺炎」と、 その中でも細菌性肺炎やウイルス性肺炎後に発症する「感染後器質化肺炎」の特徴と検査所見をご紹介します。
器質化肺炎 (organizing pneumonia:OP) とは組織学的に肺胞腔内の器質化病変を主体とする肺炎です。 特発性器質化肺炎 (cryptogenic organizing pneumonia:COP) は、 明らかな原因を有さずステロイド治療に良く反応する病態の肺炎です¹⁾。 膠原病や薬剤性など原因を有するOPを続発性器質化肺炎 (secondary organizing pneumonia:SOP) といいます。 続発性器質化肺炎 (SOP) の原因を以下に示します。
続発性器質化肺炎の一つに感染症があり、 特に細菌性肺炎やウイルス性肺炎後に発症するOPを「感染後OP」とよびます。
感染後OPの原因微生物としては、 肺炎球菌、 インフルエンザウイルス、 マイコプラズマ、 レジオネラ、 SARS-CoV-2など様々な報告があります³⁾。 感染後OPの臨床的な特徴としては、 初期は市中肺炎としての急性感染症の経過をたどり、 抗菌薬で一時的に改善するも、 症状や画像所見が遷延、 増悪します。 このように二峰性の経過をたどる肺炎を見たときは、 感染後のOPを鑑別に挙げるようにしましょう。
多くの場合、 胸部画像所見は当初市中肺炎として浸潤影を呈し、 抗菌薬投与後に一部消退するも、 新規浸潤影が出現します。
図1は感染後OPの症例で、 右下葉に対する肺炎を抗菌薬で治療して、 一時解熱しましたが、 再度発熱を認め、 左上葉に新規の浸潤影 (△) を認めました。 気管支鏡検査で診断し、 ステロイドを投与して改善しています。
二峰性の経過をたどる肺炎をみた場合、 他には、 投与された抗菌薬による薬剤性肺炎なども鑑別になります。
あとは初期治療として投与した抗菌薬でカバーができていない菌による細菌性肺炎の増悪の可能性もあります。 結核などの抗酸菌の関与なども否定はできません。
したがって、 原則としては気管支鏡検査で、 BALとTBLBを行い、 BALの分画や培養、 組織所見を確認しましょう。 感染後のOPであれば治療はステロイド投与になります
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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