海外ジャーナルクラブ
2年前
Bekaii-Saabらは、 治療歴の転移性膵臓腺癌 (mPDAC) 患者を対象に、 STAT3阻害薬napabucasinとゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用の効果を非盲検第Ⅲ相試験CanStem111Pで検討。 その結果、 ゲムシタビン+ナブパクリタキセルにnapabucasinを追加しても有効性は改善しないが、 napabucasinの安全性プロファイルは以前の報告と一致していた。 本研究はEClinicalMedicine誌にて発表された。
RCTはサンプルサイズの設定が大きな要素を握っています。 今回は事前の設定で介入群は20%の死亡リスク減少の想定です。 後出しジャンケンではありますが、 やはり通常治療に加えたadd on研究で20%はかなり難しいと思われます。
正常細胞と比較して、 腫瘍細胞は活性酸素種 (ROS) のレベルが高い。 抗酸化タンパク質であるNQO1およびpSTAT3の増加レベルは、 膵臓癌患者の生存率と負の相関がある。 Napabucasinは、 NQO1によって生物学的に活性化される、 経口投与可能な活性酸素発生薬である。
治療歴のないmPDAC患者
患者を以下の群に1:1の割合でランダムに割り付け。
全生存期間 (OS)
pSTAT3陽性患者におけるOS
OSが改善しなかったため、 試験は中止された。
バイオマーカー陽性のサブグループでは、 治療群間のOSに差はなかった。
消化器関連のgrade3以上の有害事象の発生率はnapabucasinで高かった。
下痢
腹痛
治療歴のないmPDAC患者において、 ゲムシタビンを含むナブパクリタキセルにnapabucasinを追加しても有効性は改善しないが、 napabucasinの安全性プロファイルはこれまでの報告と一致していることが示唆された。
CanStem111Pは、 臨床試験においてゲムシタビンとともにナブパクリタキセルを投与されたmPDAC患者の最大規模のコホートである。 今回のデータは、 mPDACにおける新規治療アプローチのプラットフォームとして、 ナブパクリタキセルとゲムシタビンを併用することの価値を補強するものである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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