海外ジャーナルクラブ
1年前
Jonesらは、電位依存性ナトリウム (Na) チャネルNav1.8の選択的阻害薬「VX-548」の急性疼痛に対する有効性および安全性について、2件のプラセボ対照第Ⅱ相二重盲検試験で検討。 その結果、 高用量のVX-548は腹壁形成術または腱膜瘤切除術後の48時間にわたる急性疼痛を軽減した。 本研究はNEJM誌において発表された。
脂肪除去を目的とした「腹壁形成術」と、外反母趾治療の一つ 「腱膜瘤切除術後」 が本研究の対象であり、 研究対象患者のほぼ100%が女性となってしまったことは大きなlimitationです。 一般化にはさらなる研究が望まれます。
電位依存性NaチャネルNav1.8は、 後根神経節の末梢侵害ニューロンに選択的に発現し、 疼痛の治療標的として注目されている。
腹壁形成術および腱膜瘤切除術施行後の急性疼痛患者
腹壁形成術後の患者を対象とした試験:303例
患者は以下の群に1:1:1:1の割合で割り付けられた。
腱膜瘤切除術後の患者を対象とした試験:274例
患者は以下の群に2:2:1:2:2の割合で割り付けられた。
48時間における痛みの強度差の合計 (SPID48のスコアを基に計算)
腹壁形成術試験
腹壁形成術試験の高用量VX-548群とプラセボ群の時間加重SPID48は37.8 (95%CI 9.2-66.4) だった。
腱膜瘤切除術試験
腱膜瘤切除術試験の高用量VX-548群とプラセボ群の時間加重SPID48は36.8 (95%CI 4.6-69.0) だった。
中用量群・低用量群の成績
中用量群 (腹壁形成術試験) と低用量群 (腱膜瘤切除術試験) の成績は、 両群ともにプラセボ群と同様だった。
VX-548の主な有害事象は頭痛と便秘だった。
VX-548高用量群は、 腹壁形成術や腱膜瘤切除術後の48時間の急性疼痛を軽減したが、 中用量群、 低用量群ではその効果は認められなかった。 また、 VX-548は軽度から中等度の有害事象と関連していた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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