HOKUTO編集部
4ヶ月前
広島大学病院 脳神経内科の音成 秀一郎先生による連載 「けいれん診療ガイド」 です。 第6回は"てんかん重積状態に関連した用語の整理" について解説いただきます。
脳神経内科を難しく感じる要因に、 用語のややこしさがあると思います。 そこで今回は、 てんかん重積状態に関する用語と定義について整理していきたいと思います。
てんかん重積状態 (SE) は痙攣性と非痙攣性に分けられます。 これは発作症状による違いで、 明らかな 「痙攣」 があるかどうかの違いです。
- 非痙攣性てんかん重積状態 (NCSE)
- 痙攣性てんかん重積状態 (CSE)
なお日本神経学会の用語では 「痙攣」 と漢字表記を用いていますが、 日本てんかん学会の用語集では 「けいれん」 とひらがな表記を採用しています。 その理由は常用漢字ではないことと、 一般の方にもわかりやすい用語を採用するという意図があります。
- 難治性てんかん重積状態 (RSE)
- 超難治性てんかん重積状態 (SRSE)
- 新規発症難治性てんかん重積状態 (NORSE)
難治性てんかん重積状態 (RSE) は、 1st lineであるベンゾジアゼピン系薬剤に加えて2nd lineも使用したにもかかわらず発作が起こる状況をさしますので、 全身麻酔 (鎮静薬 : ミダゾラム、 プロポフォール、 チオペンタールなど) を用いた管理を検討することになります。
麻酔薬での鎮静管理を行ってもなお治療抵抗性を示す状態をSuper refractory status epilepticus (SRSE)と呼びます。
てんかんの既往がない健康な成人や小児に突然発症するRSEまたはSRSEを、 Newly onset refractory status epilepticus (NORSE) と表現します。
RSEやSRSEでは発作の原因を同定することが極めて重要です。 なぜなら、 慢性疾患としてのてんかん単独で、 その発作がRSEやSRSEに進展することは原則的にない、 あるいは稀だからです。 そのためRSEやSRSEでは、 てんかん以外の病因を同定する必要があり、 人工呼吸管理中であっても髄液検査や造影MRIなど包括的な脳の精査が求められます。
NORSEの多くには自己免疫性、 炎症性、 ウイルス感染、 傍腫瘍性、 などが関与していますので、 てんかん重積状態の管理を行いつつ原因病態への介入を積極的に行うと良いでしょう。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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