海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前
Ma氏らは、 英国バイオバンクの参加者を対象に、 抗精神病薬 (AP) の使用と認知症リスクとの関係について、 プロスペクティブコホート研究を用いて調査した。 その結果、 抗精神病薬の使用による認知症発症リスクの増加が示された。 本研究はJ Affect Disord誌において発表された。
本研究は実臨床がどういうものかを考えさせられる研究です。 抗精神病薬としての治療効果が将来の認知症リスクよりも上回れば今後も使用されると思います。 抗精神病薬と将来の認知症発症の関連については少なくとも処方医は知っておく必要があります。
抗精神病薬は広く処方されている薬剤の1つであり、 認知機能低下を引き起こす可能性が示唆されている。 しかし、 認知症リスクに対する同薬の影響に関する研究は少ない。
英国バイオバンク参加者 : 41万5,100例
プロスペクティブコホート研究のデータから多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、 抗精神病薬への曝露と認知症リスクに及ぼす影響について分析を行った。 さらに、 経口抗精神病薬の用量反応効果を検討した。
平均8.64年
1.3% (5,235例)
いずれかの抗精神病薬使用により、 全死因性認知症および血管性認知症のリスクは増加したが、 アルツハイマー病リスクの増加は認められなかった。
全死因性認知症のリスク
HR 1.33 (95%CI 1.17-1.51、 p<0.001)
血管性認知症のリスク
HR 1.90 (95%CI 1.51-2.40、 p<0.001)
アルツハイマー病のリスク
HR 1.22 (95%CI 1.00-1.48、 p=0.051)
経口抗精神病薬と全死因性認知症および血管性認知症のリスクとの間に、 累積用量反応関係が認められた。
p for trend<0.05
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。