未治療の進行性または転移性腎細胞癌患者において、 テムシロリムス投与およびインターフェロンα (IFN-α) とテムシロリムス併用療法の効果を、 IFN-α単独投与を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験の結果より、 テムシロリムス単独投与の全生存期間 (OS) に対する有益性が示された。
原著論文
▼解析結果
Temsirolimus, interferon alfa, or both for advanced renal-cell carcinoma. N Engl J Med. 2007 May 31;356(22):2271-8. PMID: 17538086
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第Ⅲ相試験の概要
対象
未治療の進行性または転移性腎細胞癌患者
方法
626例を以下の3群に1:1:1で無作為に割り付けた。
テムシロリムス25㎎を週1回投与
IFN-αを週3回投与。 1週目は300万単位、 2週目は900万単位、 3週目は1800万単位
テムシロリムス15㎎を週1回投与+IFN-αを週3回投与。 IFN-αは1週目は300万単位、 以降は600万単位
評価項目
- 主要評価項目:OS
- 副次評価項目:無増悪生存期間 (PFS)、 全奏効率 (ORR)、 安全性
第Ⅲ相試験の結果
患者背景
3群間で同様であった。
OS中央値
(95%CI 8.6-12.7ヵ月)
(95%CI 6.1-8.8ヵ月)
(95%CI 6.6-10.3ヵ月)
PFS中央値
(95%CI 3.6-5.2ヵ月)
(95%CI 1.9-2.2ヵ月)
(95%CI 2.9-4.4ヵ月)
ORR
(95%CI 4.8-12.4%)
(95%CI 1.9-7.8%)
(95%CI 4.4-11.8%)
6か月間の病勢安定、もしくは奏効が得られた患者の割合
p<0.001 (IFN-α群に対して)
- IFN-α群:15.5%
- テムシロリムス+IFN-α群:28.1%
p=0.002 (IFN-α群に対して)
有害事象 (AE)
治療関連AE (グレード3以上) の発現率
- テムシロリムス群:67%
- IFN-α群:78%
- テムシロリムス+IFN-α群:87%
平均投与量
テムシロリムス群では、 投与量の減量と投与遅延が少なかった。
- テムシロリムス群:23.1㎎/週 (計画投与量の92%)
- IFN-α群:3020万単位/週 (計画投与量の56%)
- テムシロリムス+IFN-α群:テムシロリムス10.9㎎ (計画投与量の73%) 、 IFN-α 1310万単位 (計画投与量の72%)
著者らの結論
未治療の進行性または転移性腎細胞癌患者において、 テムシロリムス投与はIFN-α投与と比較し、 OSを改善したが、 IFN-αとテムシロリムスを併用してもOSは改善しないことが示された。