海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前

Panaccioneらは、 中等症から重症の活動期クローン病 (CD) 患者に対する抗IL-23p19抗体グセルクマブによる導入療法・維持療法の有効性および安全性を、 プラセボおよび抗IL-12/23p40抗体ウステキヌマブを対照として国際多施設共同第Ⅲ相二重盲検トリプルダミー無作為化比較試験GALAXI-2およびGALAXI-3で評価した。 その結果、 48週時においてグセルクマブのプラセボに対する優越性が示された。 本研究はLancet誌において発表された。
GALAXI試験は、 中等症から重症の成人CD患者のみを対象としたため、 小児・思春期や軽症例には結果を一般化できず、 またウステキヌマブ不応・不耐容例を含まなかったため、 その集団でのグセルクマブの有効性は評価できなかったという制限があります。
論文紹介
【GRAVITI試験】中等症~重症のクローン病にグセルクマブが有効
生物学的製剤が使用可能であるにもかかわらず、 CD患者にとって疾患コントロールが不十分であることが依然として課題となっている。
そこで第Ⅲ相試験GALAXI-2およびGALAXI-3では、 中等症から重症の活動期CD患者を対象に、 48週間にわたるグセルクマブの導入療法・維持療法の有効性および安全性を評価した。
40ヵ国257施設において、 罹患期間が3ヵ月以上で中等症から重症の活動期CDを有する成人患者1,021例 (GALAXI-2試験 508例、 GALAXI-3試験 513例) が以下の4群に2 : 2 : 2 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目の複合評価項目 (グセルクマブ各群 vs プラセボ群) は、 以下の2つであった。
12週時に臨床的改善を示し48週時に臨床的寛解を達成した割合は、 GALAXI-2試験では、 グセルクマブ200mg群が55%、 グセルクマブ100mg群が49%であり、 いずれもプラセボ群の12%と比べて有意に高かった (調整後群間差 : それぞれ43% [95%CI 32-54%]、 38% [95%CI 27-49%]、 いずれもp<0.0001)
GALAXI-3試験においても、 グセルクマブ200mg群が48%、 100mg群が47%であり、 いずれもプラセボ群の13%と比べて有意に高かった (調整後群間差 : それぞれ35% [95%CI 24-46%]、 34% [95%CI 23-45%]、 いずれもp<0.0001)。
12週時に臨床的改善を示し48週時に内視鏡的改善を達成した割合は、 GALAXI-2試験では、 グセルクマブ200mg群が38%、 グセルクマブ100mg群が39%であり、 いずれもプラセボ群の5%と比べて有意に高かった (調整後群間差 : それぞれ33% [95%CI 24-42%]、 34% [95%CI 24-43%]、 いずれもp<0.0001)
GALAXI-3試験においても、 200mg群が36%、 100mg群が34%であり、 いずれもプラセボ群の6%と比べて有意に高かった (調整後群間差 : それぞれ31% [95%CI 21-40%]、 28% [95%CI 19–37%]、 いずれもp<0.0001)。
重篤な有害事象は、 グセルクマブ200mg群で7% (100人年当たり9.7件)、 グセルクマブ100mg群で11% (同14.9件)、 ウステキヌマブ群で12% (同18.4件)、 プラセボ群で15% (同23.8件) に認められた。 死亡例は報告されなかった。
著者らは 「中等症から重症の活動期CD患者において、 グセルクマブによる導入療法・維持療法は有効性を示し、 48週時においてプラセボに対する優越性が示された。 安全性プロファイルも、 グセルクマブにおける既報のプロファイルと一致しており、 良好であった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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