【Lancet】未治療のHER2陽性胃・食道胃接合部癌へのペムブロリズマブ併用でPFS改善:KEYNOTE-811
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1年前

【Lancet】未治療のHER2陽性胃・食道胃接合部癌へのペムブロリズマブ併用でPFS改善:KEYNOTE-811

【Lancet】未治療のHER2陽性胃・食道胃接合部癌へのペムブロリズマブ併用でPFS改善:KEYNOTE-811
Janjigianらは、 未治療で切除不能なHER2陽性胃・食道胃接合部癌の患者を対象に、 トラスツズマブ+フッ化ピリミジンおよびプラチナ製剤ベースの化学療法にペムブロリズマブを併用する効果を国際第Ⅲ相無作為化比較試験で検討した。 その結果、 ペムブロリズマブの併用は、 特にPD-L1CPSスコアが1以上の腫瘍を有する患者において、 無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善した。 本研究は、 Lancet誌において発表された。 

📘原著論文

Pembrolizumab plus trastuzumab and chemotherapy for HER2-positive gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma: interim analyses from the phase 3 KEYNOTE-811 randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2023 Oct 19:S0140-6736(23)02033-0. PMID: 37871604

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

初回の中間解析結果がNature, 2、 3回目の中間解析結果がLancet誌にそれぞれ報告されています。 最終解析結果がどうなるのでしょう。 それだけ注目の研究です。

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背景

HER2陽性の胃・食道胃接合部癌において、 PD-1およびHER2遮断薬と化学療法の併用がPFSおよび全生存期間 (OS) に及ぼす有効性に関するエビデンスは乏しい。 KEYNOTE-811の最初の中間解析では、 トラスツズマブ+フッ化ピリミジンおよびプラチナ製剤ベースの化学療法にペムブロリズマブを追加した場合、 プラセボと比較して優れた客観的奏効が示された。

研究デザイン

対象

未治療でHER2陽性の進行胃・食道胃接合部癌患者

介入

患者を以下の群に1:1の割合で無作為に割り付けた。

  • ペムブロリズマブ群:350例
標準化学療法 (フッ化ピリミジンおよびプラチナ製剤) にトラスツズマブを加えた治療を3週間ごとに最大35サイクル、 または病勢進行、 許容できない毒性作用、 あるいは治験責任医師または参加者主導の中止が認められるまで、 ペムブロリズマブ200mgを静脈内投与
  • プラセボ群:348例
上記と同様の治療後、 プラセボを静脈内投与した。

主要評価項目

PFS、 OS

研究結果

主要評価項目

2回目の中間解析

追跡期間中央値

  • ペムブロリズマブ群:28.3ヵ月 (IQR 19.4-34.3ヵ月)
  • プラセボ群:28.5ヵ月 (20.1-34.3ヵ月)

PFS中央値

  • ペムブロリズマブ群:10.0ヵ月 (95%CI 8.6-11.7ヵ月)
  • プラセボ群:8.1ヵ月 (95%CI 7.0-8.5ヵ月)
HR 0.72 (95%CI 0.60-0.87、 p=0.0002)

OS中央値

  • ペムブロリズマブ群:20.0ヵ月 (95%CI 17.8-23.2ヵ月)
  • プラセボ群:16.9ヵ月 (95%CI 15.0-19.8ヵ月)
HR 0.87 (95%CI 0.72-1.06、 p=0.084) 

3回目の中間解析

追跡期間中央値

  • ペムブロリズマブ群:38.4ヵ月 (IQR 29.5-44.4ヵ月)
  • プラセボ群:38.6ヵ月 (IQR 30.2-44.4ヵ月)

PFS中央値

  • ペムブロリズマブ群:10.0ヵ月 (95%CI 8.6-12.2ヵ月)
  • プラセボ群:8.1ヵ月 (95%CI 7.1-8.6ヵ月)
HR 0.73 (95%CI 0.61-0.87) 

OS中央値

  • 20.0ヵ月 (95%CI 17.8-22.1ヵ月)
  • 16.8ヵ月 (95%CI 15.0-18.7ヵ月)
HR 0.84 (95%CI 0.70-1.01) 

安全性評価

Grade3以上の治療関連有害事象の発現

  • ペムブロリズマブ群:58% (350例中204例)
  • プラセボ群:51% (346例中176例)

死亡に至った治療関連有害事象の発現

  • ペムブロリズマブ群:1% (350例中4例)
  • プラセボ群:1% (348例中3例)

最も多くみられた治療関連有害事象

下痢

  • ペムブロリズマブ群:47% (350例中165例)
  • プラセボ群:42% (348例中145例)

悪心

  • ペムブロリズマブ群:44% (350例中154例)
  • プラセボ群:44% (348例中152例)

貧血

  • ペムブロリズマブ群:31% (350例中109例)
  • プラセボ群:33% (348例中113例)

結果の解釈

HER2陽性の胃・食道胃接合部癌の1次治療において、トラスツズマブおよび標準化学療法に対するペムブロリズマブの追加投与は、 特にPD-L1 CPS≧1の患者において、 PFSを有意に改善した。 OSの追跡調査は継続中であり、 最終解析後に報告される予定である。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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