寄稿ライター
2ヶ月前
あまりの税金の高さに愕然としている先生も多いでしょう。 連載 「医師による医師のための財テク術」 の21回目からは、 節税対策として行われることが多い中古アパートの1棟投資について考察します。
連載第11回で述べましたが、 不動産投資の魅力のひとつは減価償却費を利用することで、 実際に手元からお金が出ていないのに、 帳簿上の出費で赤字を作れることです。
今回のテーマは、 「法定耐用年数を超えた築年数の物件を用いることで、 高速 (最短4年) で減価償却して節税効果を得る」 です。
計算式などの詳細は省略しますが、 法定耐用年数を超えた中古物件を購入した場合、 減価償却期間は以下のようになります。
減価償却の効果を最大化することが目的なので、 木造築古が第一選択となります。
土地の価値は減損しないため、 減価償却費は建物や設備にしかかかりません。 そのため、 同じ物件を購入したとしても、 建物比率が高くないと、 減価償却費を十分にとることができず、 節税効果が少なくなってしまいます。
物件を購入するときに建物比率を高くした契約にしてもらうことが重要です。 ただ、 売り主との交渉が成立すれば、 建物比率を異常に高い数値に設定できるかというと、 後で国税庁に指摘される可能性があります。 実際には、 固定資産税評価額を基に計算した比率を根拠とすることが多いです。
本手法のメリットは、 購入時に建物比率などが決まれば、 安定した節税効果を狙える点です。 築古物件のため経年による市場価格の低下が少ないのも良い点です。
一方、 減価償却期間が過ぎると帳簿上の利益が急に出てしまうため、 税金が急激に増加する可能性があります。 場合によっては、 ローン返済などで手元資金はマイナスなのに、 帳簿上は黒字になってしまい、 税金が払えず黒字倒産、 なんて事態にもなりかねません。 こうした現象をデッドクロスといいます。
そのため、 長期譲渡となる6年目以降に早期売却する必要が出てきます。 ただ、 購入と売却時には仲介手数料や登記費用など様々な費用がかかりますので、 これらの比重が相対的に高くなってしまうのもデメリットでしょう。
融資に際しても注意が必要です。 法定耐用年数を超えているため、 金融機関の評価額が少なくなり、 融資が引きにくくなります。 他物件よりも高い属性・頭金が求められます。
この点は出口戦略にも影響します。 買える人が少ないから、 売却に苦労したり、 買い叩かれたりする可能性があるのです。 他にも、 築古物件であるため急な修繕費用が嵩むなどの点も頭に入れておいたほうがいいでしょう。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは
となります。 次回はデッドクロスについて掘り下げて考えます。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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