【JAMA Surg】急性腹症への非造影CT、造影CTに比べ診断精度が約30%低減
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1年前

【JAMA Surg】急性腹症への非造影CT、造影CTに比べ診断精度が約30%低減

【JAMA Surg】急性腹症への非造影CT、造影CTに比べ診断精度が約30%低減
Shaishらは、 急性腹症を訴え救急科 (ED) を受診した患者を対象に、 非造影腹部・骨盤部CTの診断精度を多施設後ろ向き診断精度研究で検討。 その結果、 非造影CTの全体的な精度は70%であり、 造影CTに比べて約30%精度が低かったことが明らかとなった。 本研究はJAMA Surgにおいて発表された。

📘原著論文

Diagnostic Accuracy of Unenhanced Computed Tomography for Evaluation of Acute Abdominal Pain in the Emergency Department. JAMA Surg. 2023 May 3;e231112. PMID: 37133836

👨‍⚕️監修医師のコメント

救急外来での造影CTの意義については定量的には検討した素晴らしい研究です。 診断精度で30%というのは非常に大きな意味があり、 常に造影剤リスクとのバランスを考えながら造影CT撮像を検討していくことが肝要です。


背景

腹痛のためにCTを受ける患者において、 合併症のリスクや入手の難しさから静脈内造影剤が差し控えられることがある。 しかし造影剤の使用を控えることによるリスクは、 十分に検討されていない。

研究デザイン

対象

急性腹症の評価のために造影CT (Dual-energy) を受けた成人患者:201例

解析方法

  • 盲検化された3人の放射線科医が検査画像を基に多数決で参照基準を設定した。
  • 盲検化された3施設における放射線科医6人 (指導医3人、 研修医3人) が、 Dual-energy CTから得られた仮想非造影CTのデータを用いてが診断した。

主要評価項目

非造影CTの一次診断 (腹痛の主な原因) の診断精度

副次評価項目

二次診断 (患者管理に必要な偶発的所見) の診断精度

研究結果

非造影CTの診断精度

非造影CTの全体的な精度:70%

  • 指導医:68-74%
  • 研修医:69-70%

一次診断・二次診断の精度

一次診断の精度は指導医のほうが高かったが、 二次診断の精度は指導医のほうが低かった。

<一次診断>

  • 指導医:82%
  • 研修医:76%
OR 1.83、 95%CI 1.26-2.67、 P=0.002

<二次診断>

  • 指導医:87%
  • 研修医:90%
OR 0.57、 95%CI 0.35-0.93、 P<0.001

一次診断・二次診断で差が出た理由

指導医において一次診断の偽陰性率が少なく、 二次診断の偽陽性が多かったためと考えられる。

一次診断の偽陰性

  • 指導医:38%
  • 研修医:62%
OR 0.23、 95%CI 0.13-0.41、 P<0.001

二次診断の偽陽性

  • 指導医:63%
  • 研修医:37%
OR 2.11、 95%CI 1.26-3.54、 P=0.01

観察者の診断精度の一致度

全体的な診断精度の一致度は中程度であった。

  • Gwetの合意一致係数:0.58

結論

EDにおける腹痛の評価において、 非造影CTは造影CTに比べ約30%精度が低かった。 腎障害や過敏反応の危険因子を持つ患者に造影剤を投与するリスクとバランスを取る必要がある。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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