海外ジャーナルクラブ
1年前
Shaishらは、 急性腹症を訴え救急科 (ED) を受診した患者を対象に、 非造影腹部・骨盤部CTの診断精度を多施設後ろ向き診断精度研究で検討。 その結果、 非造影CTの全体的な精度は70%であり、 造影CTに比べて約30%精度が低かったことが明らかとなった。 本研究はJAMA Surgにおいて発表された。
救急外来での造影CTの意義については定量的には検討した素晴らしい研究です。 診断精度で30%というのは非常に大きな意味があり、 常に造影剤リスクとのバランスを考えながら造影CT撮像を検討していくことが肝要です。
腹痛のためにCTを受ける患者において、 合併症のリスクや入手の難しさから静脈内造影剤が差し控えられることがある。 しかし造影剤の使用を控えることによるリスクは、 十分に検討されていない。
急性腹症の評価のために造影CT (Dual-energy) を受けた成人患者:201例
非造影CTの一次診断 (腹痛の主な原因) の診断精度
二次診断 (患者管理に必要な偶発的所見) の診断精度
非造影CTの全体的な精度:70%
一次診断の精度は指導医のほうが高かったが、 二次診断の精度は指導医のほうが低かった。
<一次診断>
<二次診断>
指導医において一次診断の偽陰性率が少なく、 二次診断の偽陽性が多かったためと考えられる。
一次診断の偽陰性
二次診断の偽陽性
全体的な診断精度の一致度は中程度であった。
EDにおける腹痛の評価において、 非造影CTは造影CTに比べ約30%精度が低かった。 腎障害や過敏反応の危険因子を持つ患者に造影剤を投与するリスクとバランスを取る必要がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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