海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Louisらは、 潰瘍性大腸炎患者を対象に、 インターロイキン-23 (IL-23) のp19サブユニットに対するモノクローナル抗体であるリサンキズマブの有効性および安全性について、 2つの第Ⅲ相無作為化比較試験で検討した。 その結果、 リサンキズマブによる導入療法および維持療法による臨床的寛解率の改善が示された。 本研究はJAMAにて発表された。
維持療法試験の52週時の臨床的寛解率は、 リサンキズマブ180mg群が40%、 360mg群が38%に対し、 プラセボ群が25%もあります。 プラセボ効果がかなり高いのが、 潰瘍性大腸炎の特徴とも言えます。
中等症~重症クローン病へのリサンキズマブ vs ウステキヌマブ
潰瘍性大腸炎 (UC) の治療におけるリサンキズマブの臨床効果は明らかになっていない。 そこで本研究は、 UC患者に対する導入療法および維持療法としてリサンキズマブを投与したときの、 有効性および安全性について評価することを目的とした。
以下の条件をすべて満たす患者を対象とした。
- 中等症~重症の活動性UC
- 1種類以上の従来型治療、 先進治療、 またはその両方に不耐容または効果不十分
- リサンキズマブの投与歴がない
以下の2件の第Ⅲ相無作為化比較試験を実施した。
導入療法試験 : INSPIRE試験
41ヵ国の計261施設で実施。 2020年11月5日~2022年8月4日に977例を登録した。
患者を2 : 1で以下のいずれかに無作為に割り付けた。 最終追跡は2023年5月16日。
- リサンキズマブ群
- プラセボ群
維持療法試験 : COMMAND試験
37ヵ国の計238施設で実施。 2018年8月28日~2022年3月30日に754例を登録した。
リサンキズマブの静脈内投与による治療後に臨床的改善がみられた*患者を、 1 : 1 : 1で以下のいずれかに無作為に割り付けた。 最終追跡は2023年4月11日。
- リサンキズマブ180mg群
- リサンキズマブ360mg群
- プラセボ群
導入療法試験は12週時、 維持療法試験は52週時における臨床的寛解を主要評価項目とした。
なお、 臨床的寛解は以下を満たすものとした。
- 排便回数スコアが1以下かつベースラインを超えない
- 血便スコアが0
- 内視鏡所見サブスコアが1以下で、 粘膜の脆弱性がみられない
リサンキズマブは、 導入療法試験・維持療法試験ともに臨床的寛解率を有意に改善した。
解析対象は975例であった。
12週時の臨床的寛解率
- リサンキズマブ群 : 20.3% (132/650例)
- プラセボ群 : 6.2% (20/325例)
調整群間差 : 14.0% (95%CI 10.0-18.0%)、 p<0.001
解析対象は548例であった。
52週時の臨床的寛解率
- リサンキズマブ180mg群 : 40.2% (72/179例)
- リサンキズマブ360mg群 : 37.6% (70/186例)
- プラセボ群 : 25.1% (46/183例)
調整群間差
- 180mg群 vs プラセボ群 : 16.3% (97.5%CI 6.1-26.6%)、 p<0.001
- 360mg群 vs プラセボ群 : 14.2% (97.5%CI 4.0-24.5%)、 p=0.002
安全性
治療群間で有害事象のシグナルは検出されなかった。
著者らは 「中等症~重症の活動性潰瘍性大腸炎患者を対象とした導入療法試験および維持療法試験において、 リサンキズマブはプラセボと比較して臨床的寛解率を改善した。 52週間を超える追跡期間でのベネフィットを確認するには、 さらなる研究が必要である」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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