海外ジャーナルクラブ
2年前
米国臨床腫瘍学会 (ASCO) は4月末、 成人癌サバイバーにおける不安とうつ病の治療に関するガイドラインの改訂版を発表した。 新たなガイドラインは、 3つのカテゴリに分け、 成人癌サバイバーにおける不安症状および/またはうつ病の管理において、 どのような治療アプローチが推奨されるかという点に答える内容となっている。 本報告についてはJ Clin Oncol誌において発表された。
2014年に発表されたガイドライン以降、 うつ病と不安のスクリーニングと評価は改善され、 新たなエビデンスベースが出現している。 そこで最新の推奨事項を徹底させるため、 2013~21年の間に発表された61件の研究 (メタ解析:16件、 系統的レビュー:1件、 無作為化比較試験:44件) について専門家による検討が行われた。
新しいガイドラインは 「成人がん生存者における不安および/またはうつ病の管理において、 どのような治療アプローチが推奨されるか」 という点に答えるものとなっている。
専門家委員会の推奨は、
①一般的な管理原則
②うつ症状の治療とケアの選択肢
③不安症状の治療とケアの選択肢
の3つのカテゴリーに分類され、 うつ病と不安症状に関するカテゴリーはほぼ同様の内容となっている。
段階的ケアモデルを用いること、 すなわち、 症状の重症度に基づいて最も有効性が高く、 必要とされる医療資源が少ない介入を行うことが推奨される。 また、 すべてのがん患者に対して、 うつ病と不安症状に関する教育を提供すべきである。
中等度のうつ病の症状のある患者には、 認知行動療法 (CBT)、 行動活性化 (BA)、 マインドフルネスに基づくストレス軽減 (MBSR)、 体系的な身体活動や運動、 または経験的に支持された心理社会的介入を行うべきである。
不安症状が中等度の患者に対しては、 CBT、 BA、 体系的な身体活動、 アクセプタンス&コミットメント・セラピー (ACT)、 または心理社会的介入を提供すべきである。
うつ病または不安症状が重い患者に対して、 認知療法、 BA、 CBT、 MBSR、 または対人関係療法を提供すべきである。
一次治療が受けられない患者、 薬物療法を好む患者、 以前に薬物療法に良好な反応を示した患者、 第一選択の心理的または行動的管理を受けても改善しない患者には、 うつ病または不安症の薬物療法を行うことができる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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