HOKUTO編集部
1日前

関節リウマチ (RA) 患者を対象に、 メトトレキサート (MTX) 単剤治療開始後のTreat-to-Target (T2T) 治療戦略を踏まえた治療強化の実態を、 日本のDeSCレセプトデータ*を用いた後ろ向きコホート研究で検討した結果、 MTX開始後6ヵ月以内に治療強化された患者は約2割にとどまった。 治療強化は主にMTX以外の従来型合成疾患修飾抗リウマチ薬 (csDMARD) 導入によるものであり、 生物学的疾患修飾抗リウマチ薬 (bDMARD) /分子標的型合成疾患修飾抗リウマチ薬 (tsDMARD) 導入は限定的であった。 また、 MTX増量は緩徐かつ限定的であり、 グルココルチコイド (GC) の長期使用が一定の割合で認められた。 慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科名誉教授/埼玉医科大学学長の竹内勤氏が発表した。 同研究の詳細は、 Mod Rheumatol.誌2026年5月22日オンライン版¹⁾に掲載された。
T2T治療戦略では、 寛解または低疾患活動性の達成を目標として、 MTXの適切な用量増量を行い、 反応が不十分な場合には速やかなbDMARD/tsDMARDへの治療強化を行うことが推奨されている。 一方、 日本の実臨床において、 MTXがどの程度最適化されているのか、 また治療強化のタイミングやGC使用の実態は十分に明らかでなかった。
そこで本後ろ向き研究では、 日本のレセプトデータを用い、 T2Tの観点から、 新規MTX単剤治療開始後の治療強化の実態、 MTXの用量推移・増量速度、 経口GC使用パターンを検討した。
DeSCレセプトデータベースを用いて、 2014年4月1日~2024年11月30日にRAと診断され、 MTX単剤治療を開始した成人患者を抽出した。
2万1,734例がMTX単剤治療開始後6ヵ月以内の治療パターンに基づき、 以下に分類された。
評価項目は、 治療パターン、 治療強化関連因子、 Sankey図を用いて時系列的に可視化したMTXおよびGCの用量推移であった。 解析には記述統計および多変量ロジスティック回帰が用いられた。
解析対象2万1,734例のうちMTX開始後6ヵ月以内に治療強化された患者は4,949例 (22.8%) であり、 内訳はcsDMARD群が3,158例 (63.8%)、 bDMARD/tsDMARD群が1,721例 (34.8%) であった。
一方で、 治療強化されなかった患者は1万6,785例 (77.2%) であり、 このうちMTX単剤継続群は1万3,784例 (82.1%) であった。
患者背景として、 平均年齢はcsDMARD群が65.5歳、 bDMARD/tsDMARD群が64.3歳、 MTX単剤継続群が66.2歳と各群でおおむね同様であり、 女性はそれぞれ68.7%、 71.8%、 67.6%を占めていた。
経口GC使用歴を有する患者の割合はそれぞれ57.7%、 54.6%、 48.2%と治療強化2群 (csDMARD群およびbDMARD/tsDMARD群) で相対的に高く、 入院歴を有する患者の割合は20.0%、 26.2%、 19.0%とbDMARD/tsDMARD群で高かった。
csDMARD開始を参照とした解析で、 bDMARD/tsDMARD開始は、 女性、 中小規模病院 (診療所と比較)、 葉酸・鎮痛薬使用、 入院歴、 MTX増量速度が高い患者で正の関連を示した一方で、 経口GC使用歴および国民健康保険加入とは負の関連を示した。
治療強化2群のMTX単剤治療開始から治療強化までのMTX用量推移において、 MTX平均用量10mg/週以上の割合は、 両群のいずれも開始1ヵ月で約35~38%であり、 その後、 約46%まで上昇した後に低下傾向を示した。
治療強化時点を起点として治療強化前後のMTX用量推移をみると、 いずれの群でも、 治療強化直前 (-60~-1日) に約7割の患者が10mg/週未満の状態で治療強化されていた。
また、 MTX増量が認められた患者において、 治療強化に至るまでのいずれの時点でも、 月あたりのMTX増量が1mg未満であった患者が約半数を占めていた。
MTX単剤継続群の治療開始後1年間のMTX用量推移において、 MTX平均用量10mg/週以上の割合は開始2ヵ月で約21%であり、 その後約41%まで上昇した後に低下傾向を示した。
治療強化2群の治療強化前後 (治療強化90日前~90日後) における経口GC使用パターンにおいて、 経口GCの90日以上の使用がcsDMARD群の40.1%、 bDMARD/tsDMARD群の38.1%で認められ、 これら長期経口GC使用者のうち5mg/日以上が投与されていた割合はそれぞれ82.9%、 88.4%であった。
MTX単剤継続群では、 180日以上の経口GC使用が31.5%で認められ、 そのうち5mg/日以上が投与されていた割合は47.6%であった。
以上より、 竹内氏は、 本研究はレセプトデータベースのため疾患活動性・重症度・治療反応性・副作用を直接評価できないなどの限界があるとしたうえで、 「MTX開始後6ヵ月以内に治療強化された患者は約2割にとどまった。 治療強化は主にMTX以外のcsDMARD導入であり、 bDMARD/tsDMARD導入は限定的であった。 MTX増量は緩徐であり、 迅速な用量評価が十分に行われていない可能性がある。 また、 GCの長期使用が一定の割合で認められた。 これらの結果から、 T2T治療戦略の推奨と、 実臨床における治療運用との間に乖離が存在する可能性が示唆された」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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