海外ジャーナルクラブ
1年前
Kalataらは、 胆嚢摘出術を受けた患者を対象に、 ロボット支援胆嚢摘出術と腹腔鏡胆嚢摘出術の安全性を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 術後1年以内に胆道再建術が必要になった胆管損傷の発症率はロボット支援胆嚢摘出術の方が有意に高かった。 本研究はJAMA Surgery誌において発表された。
Administrative claims database (診療報酬請求データベース)を使用した後ろ向きの解析結果ですのでかなりのbiasが存在します。 結論ありきでJAMA Surgeryとして採用したかった雰囲気を感じます。
ロボット支援胆嚢摘出術は従来の腹腔鏡手術と比較して技術面および安全面で利点があるという考えがあり、 急速に導入が進んでいるが、 ロボット支援胆嚢摘出術が腹腔鏡胆嚢摘出術よりも安全であるかどうかは不明である。
胆嚢摘出術を受けた66~99歳の患者で、 術前3ヵ月と術後12ヵ月までの期間にメディケアのfee-for-serviceが適用された102万6088例
ロボット支援胆嚢摘出術または腹腔鏡胆嚢摘出術による胆嚢摘出術の実施
胆嚢摘出術後1年以内に根治的再建術を必要とする重度の胆管損傷の発生率
術後の胆道インターベンションおよび30日以内の術後合併症発生率
腹腔鏡胆嚢摘出術と比較して、 ロボット支援胆嚢摘出術の方が、 1年以内に根治的再建術を必要とする胆管損傷の割合が高かった。
相対リスク (RR) :3.16 (95%CI 2.57-3.75)
胆道インターベンション
ロボット支援胆嚢摘出術の方が、 内視鏡的ステント留置術などの術後の胆道インターベンションの実施率も高かった。
RR:1.25 (95%CI 1.16-1.33)
30日以内の術後合併症発生率
30日以内の術後合併症発生率には両群間に有意差はなかった。
操作変数解析
操作変数解析においても、 ロボット支援胆嚢摘出術の方が重度の胆管損傷の発生率が高かった。
RR:1.88 (95%CI 1.14-2.63)
ロボット支援胆嚢摘出術の胆管損傷の発生率が腹腔鏡胆嚢摘出術よりも高いことから、 最小侵襲で安全な腹腔鏡手術が可能な状況では、 ロボット手術の適用を再考する必要があるとしている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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