【NEJM】潰瘍性大腸炎へのミリキズマブ、 臨床的寛解の導入と維持に有効
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【NEJM】潰瘍性大腸炎へのミリキズマブ、 臨床的寛解の導入と維持に有効

【NEJM】潰瘍性大腸炎へのミリキズマブ、 臨床的寛解の導入と維持に有効
Dubinskyらは、 中等症から重症の活動性の潰瘍性大腸炎の成人患者を対象に、 ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体ミリキズマブの有効性を第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照無作為化試験で検討。 その結果、 ミリキズマブは,プラセボよりも臨床的寛解の導入と維持における有効性が高かった。 本研究はNEJM誌において発表された。

📘原著論文

Mirikizumab as Induction and Maintenance Therapy for Ulcerative Colitis. N Engl J Med. 2023 Jun 29;388(26):2444-2455. PMID: 37379135

👨‍⚕️監修医師のコメント

胃癌の患者がミリキズマブ群から発症し、 本文には日本は胃癌の発症率が高いからと記載されています。

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潰瘍性大腸炎の臨床的重症度による分類

診断基準・治療指針 令和3年度改訂版より

潰瘍性大腸炎の活動期内視鏡所見による分類

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潰瘍性大腸炎の診断基準

潰瘍性大腸炎 診断基準・治療指針 令和3年度改訂版より

Mayo スコア

潰瘍性大腸炎の重症度分類

UCEIS

潰瘍性大腸炎の内視鏡的活動スコア

背景

IL-23のp19を標的とする抗体であるミリキズマブは、 第Ⅱ相試験において潰瘍性大腸炎の治療に有効性を示した。

研究デザイン

対象

中等症から重症の活動性の潰瘍性大腸炎の成人患者

介入

導入試験

患者を3:1の割合で無作為に割り付け。

  • ミリキズマブ群:ミリキズマブ 300mgを4週ごとに12週間静脈内投与
  • プラセボ群:プラセボを4週ごとに12週間静脈内投与

維持試験

ミリキズマブ導入療法に奏効した患者を2:1の割合で無作為に割り付け

  • ミリキズマブ群:ミリキズマブ (200mg) を4週間ごとに40週間皮下投与
  • プラセボ群:プラセボを4週間ごとに40週間皮下投与

主要評価項目

導入療法では12週時点、 維持療法では40週時点 (全体で52週時点) の臨床的寛解

副次評価項目

臨床的奏効、 内視鏡的寛解、 便意切迫感の改善

研究結果

主要評価項目

導入試験の12週時点 (24.2% vs 13.3%、 P<0.001) および維持試験の40週時点 (49.9%vs 25.1%、 P<0.001) に臨床的寛解を示した患者の割合は、 プラセボ群よりもミリキズマブ群の方が有意に高かった。

副次評価項目

主要な副次評価項目の基準は両試験ですべて満たされた。

安全性評価

鼻咽頭炎と関節痛

鼻咽頭炎と関節痛の有害事象は、 プラセボよりもミリキズマブの方が多く報告された。

感染症および癌の罹患

両試験の対照期および非対照期 (非盲検延長期間および維持期間を含む) にミリキズマブの投与を受けた患者1,217例のうち、 15例が日和見感染症に罹患し (帯状疱疹感染症6例を含む)、 8例が癌に罹患した (大腸癌3例を含む)。 導入試験でプラセボを投与された患者では、 1例が帯状疱疹感染症に罹患し、 癌に罹患した患者はいなかった。

結論

ミリキズマブは中等度から重度の活動性の潰瘍性大腸炎患者において、 プラセボよりも臨床的寛解の導入と維持に有効であった。 ミリキズマブを投与された患者の少数に、 日和見感染または癌が発生した。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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