1次治療後に進行した胃または食道胃接合部腺癌患者において、 ラムシルマブ+パクリタキセルの併用療法の効果を、 プラセボ+パクリタキセルを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験RAINBOWの結果より、 全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。
原著論文
▼解析結果
Ramucirumab plus paclitaxel versus placebo plus paclitaxel in patients with previously treated advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (RAINBOW): a double-blind, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol. 2014 Oct;15(11):1224-35. PMID: 25240821
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RAINBOW試験の概要
対象
- 白金製剤+フッ化ピリミジン系製剤による1次治療中または最終投与から4ヵ月以内に病勢進行が認められた、 転移性または切除不能な局所進行胃/食道胃接合部腺癌患者
- 18歳以上、 ECOG PS0~1
方法
665例を以下の2群に1:1で割り付けた。
ラムシルマブ8mg/kg day1,15+パクリタキセル80mg/m²⁾ day1,8,15を28日毎に投与
プラセボ day1,15+パクリタキセル80mg/m² day1,8,15を28日毎に投与
評価項目
主要評価項目:OS
副次評価項目:無増悪生存期間 (PFS) 、 奏効率 (ORR) 、 病勢コントロール率 (DCR) 、 安全性
RAINBOW試験の結果
患者背景
- 両群で同様であった。
- 年齢中央値は61歳、 男性は69~73%、 アジア人は33~36%
治療状況
- 治療期間中央値は、 ラムシルマブ群で18.0週、 プラセボ群で12.0週であった。
- ラムシルマブ群の5%でラムシルマブの減量を行い、 プラセボ群の1%未満でプラセボの減量が行われた。
- パクリタキセルの減量は、 ラムシルマブ群では24%、 プラセボ群では7%に認められた。
追跡期間中央値
7.9ヵ月
OS中央値
(95%CI 8.5-10.8ヵ月)
(95%CI 6.3-8.4ヵ月)
HR 0.807 (95%CI 0.678-0.962)、 p=0.017
OS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時)
- ラムシルマブ群:72%、 40%
- プラセボ群:57%、 30%
OSの多変量解析
多変量解析により、 生存率改善に寄与する下記の7つの因子が同定された。
- ECOG PS0
- 体重減少10%未満
- 転移部位は2箇所まで
- 腹水なし
- 腫瘍が高分化または中分化
- 胃切除の既往
PFS中央値
(95%CI 4.2-5.3ヵ月)
(95%CI 2.8-3.0ヵ月)
HR 0.635 (95%CI 0.536-0.752)、 p<0.0001
PFS率 (6ヵ月時、 9ヵ月時)
- ラムシルマブ群:36%、 22%
- プラセボ群:17%、 10%
ORR
(95%CI 23-33%)
(95%CI 13-20%)
p=0.0001
病勢コントロール率
(95%CI 75-84%)
(95%CI 58-69%)
p<0.0001
奏効期間 (中央値)
有害事象 (AE)
- AEにより治療を中止した患者は、 ラムシルマブ群12%、 プラセボ群11%であった。
- Grade3-4の好中球減少症の発現率は、 ラムシルマブ群 (41%) の方がプラセボ群 (19%) より高かったが、 Grade3以上の発熱性好中球減少症の発生率は両群で同程度であった (それぞれ3%、 2%) 。
治療関連AE (Grade3、 4、 5) の発現率
- ラムシルマブ群:47%、22%、12%
- プラセボ群:39%、8%、16%
著者らの結論
1次治療後に進行した胃または食道胃接合部腺癌患者において、 ラムシルマブ+パクリタキセルの併用療法は、 プラセボ+パクリタキセルと比較してOSを有意に延長することが示された。